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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

       

「俺の考え」著 本田宗一郎

生産性を向上させ、働き方改革を推進する─近年、デフレや少子高齢化などに対応するため、業務を効率化し、働き方を見直そうとする企業が増えてきました。しかし、時代によって変わる社会問題に対処するのは「企業が果たすべき責任」だと理解してはいても、対応策に頭を悩ます経営者は多いのではないでしょうか。

でも、もし終戦直後からこれらの課題に取り組み、世界的大企業を育てた経営者がいたとしたら。本書『俺の考え』は、本田技研工業創業者である本田宗一郎氏が雑誌で掲載していたエッセイをまとめて、発刊されました。

執筆当時、HONDAは自社で開発した二輪車で世界一の地位を不動のものとし、四輪車でも最高峰のグランプリレースF1に挑戦するなど、一目置かれる企業へと成長していました。

その本田氏独自の経営理論が、底抜けに明るく、豪快な人柄そのままの言葉でつづられているため、会うことが叶わなかった彼の生の声を聞いている感覚になれる、私にとって特別な一冊です。

しかも、先にあげたデフレや働き方改革だけではなく、組織論やCSR、コーポレートガバナンス・コード、事業承継など、現代の企業が抱える課題が多く取り上げられており、経営者に進むべき道を指し示してくれる一冊でもあります。

では、なぜ本田氏は50年以上も前から、この社会問題を予見することができたのでしょうか。

それは、本田氏自身が人間理解の達人であり、生粋の技術者らしく合理的かつ実利的な経営を目指していたからに他なりません。例えば、日本にあった滅私奉公の働き方などもってのほか。社員には「企業の犠牲になるな。自分の生活を楽しむために働け」と言い続けました。

「そのために得手に帆を上げて、得意分野で勝負しろ」と。

起業直前に読んだ本書は、我が社の組織づくりの最高のエッセンスになってくれました。創業時から導入したフラットな組織と「ワイガヤ会議」で、社員全員が自由にざっくばらんに話し合いながら、課題の本質を探り、解決策を導き出しています。また、リアリズム=本田流三現主義(現場・現物・現実)は、当社の顧客企業への「常駐型支援」の根幹になっています。

最後に、本田氏が技術力向上に注力できたのは、CFOを務めた藤沢武夫氏の存在があったからこそです。

私が「あらゆる企業をCFO領域から支えたい」という想いで起業したエスネットワークスは、財務や会計、M&A、IPOなどに関わるコンサルティングを国内外で行っています。

「世界で戦う企業の良き相棒であり続ける」。久しぶりに頁をめくった本書が、その決意と、当社各所に織り込まれた本田イズムを再確認させてくれたような気がしています。


すはら・しんたろう◎一橋大学経済学部卒業。監査法人トーマツへ入所。その後、マッキャンエリクソンにて、企業のブランド戦略立案及びマーケティングプランニングに従事した。1999年、エスネットワークスを共同設立。2011年4月、代表取締役社長に就任。

構成=内田まさみ

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