ソイレントは、一連のリコールやインターネット上に投稿された同社製品に関するありがたくない動画をきっかけに悪評を買ったことでも知られる。だが、2013年の創業から間もない時期に直面したそれらの困難にもかかわらず、すぐにカルト的な人気を得るに至った。
同社は創業当初から、ドリンクタイプの代替食をオンライン通販のみで、12本セット限定で販売してきた。それほど知名度が高くないメーカーの飲料としては、非常に大胆な販売戦略だ。だが、それが投資家らの注目を集めた。
ソイレントが昨年5月にシリーズBラウンドで5000万ドル(約55億2400万ドル)を調達した際、リードインベスターとなったGV(旧グーグル・ベンチャーズ)のゼネラルパートナー、アンディ・ウィーラーは、「オンライン販売だけでソイレントのビジネスがこれほど拡大したことに驚いた」と語った。
「・・・オンラインでしか購入できず、12本入りのケースでしか買えない。多くの人は初めて買う飲料を、ケースでは買わないだろう」
また、ソイレントの広報担当者はこの時、同社の顧客が特定の層に限定されていると考えられていることについて、次のようにコメントしていた。
「都市部に住む高学歴の、テクノロジーに精通した若い男性が顧客の大半を占めていることに変わりはない。だが、製品の種類を増やすことでより幅広い層の消費者にアプローチする機会を得ることができる」
リーチの拡大を目指す
同社は昨年の資金調達後、米国内のセブンイレブン2500店舗以上で販売を開始した。また、アマゾンで販売されている代替食の中では上位を維持し続けている。顧客層の拡大という目標に向け、同社は順調に前進しているもようだ。
セブンイレブンでの販売が好調であることを受けて、ソイレントがより大規模な小売店での販売を目指すことになるのは当然の流れだった。次にウォルマートでの販売を決めたことは、いくつかの理由で戦略的な決断だった。その最も明白な理由は、ウォルマートの棚に商品が並ぶことで、ブランド認知度が驚くほど高まるということだ。
特にソイレントの場合、ウォルマートを通じてのリーチの拡大は、同社またはアマゾンを通じた通販限定・12本まとめ買い限定という制限と関わりなく、より多くの消費者に商品を試してもらえることを意味する。
さらに、同社の事業拡大に関して最も興味深い点は、ソイレントとウォルマートという2つのブランドの組み合わせだ。沿岸の都市部以外の住民になじみが深く、低価格で多くの人を引き付けている国内最大の小売業者でソイレントの商品を販売することは、エリート主義的とされてきた同社のイメージを拭い去るための戦術と解釈することもできる。