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ロボットやIoTの専門メディア「ロボティア」代表

FGC / shutterstock

まもなくやってくる6月1日は、日本の大企業や大学生にとって「就活解禁日」。今年も昨年と同じく「売り手市場」となるのかなど、新社会人や日本経済の“バロメータ=就活戦線”を取り巻き、何かと話題が盛り上がる季節が始まりつつある。

ところで、日本では昨年頃から「採用面接に人工知能(AI)を導入する」とする大企業が徐々に増え始めている。気になったので「AI面接」を掲げたとある日本の大企業に取材をしてみたところ、「人事業務のコスト・労力削減」が主な理由とのことだった。

大企業には毎年膨大な数のエントリーシートが送られてくる。その中から適切な候補を“キュレーション”することで、書類審査など一次面接などにかかる時間や人的負担を減らしたいというわけだ。

人工知能(もしくは人工知能に対する人々の期待)は日進月歩だ。あれから一年、AI面接の様相も徐々に様変わりを始めている。世界各国の企業のなかでは、単純なコスト削減にとどまらず、人材を発掘する画期的な支援ツールとして、人工知能を積極的に導入しようという動きが徐々に広がっているように見える。

例えば、受験や就職競争が激しい韓国では、ロッテグループ、SKC&C、LGハイプラス、JW Pharmaceutical、韓美薬品、韓国放送通信電波振興院(KCA)など大手各社が、相次いで面接AIの導入に乗り出した。

韓国の例を見ると、各社によって若干の相違はあるものの、人工知能を使った面接は大きくふたつの領域に分かれるようだ。ひとつは書類や筆記テストの内容、もしくは会話の特徴を読み解く「言語解析」、そしてもうひとつが声や話し方、表情などを読み解く「生体分析」(もしくは非言語解析)だ。

前者は主に、肯定的・否定的・主観的・客観的・中立的など、応募者の言語的特徴を分析。また、「どのような言葉を多く使っているか」などの情報から、その応募者の志向性や会社との相性を定量化する用途で使われているという。

一方、後者は質問に対する応募者の反応を分析。分からない質問をされた時、応募者の感情や表情がどのように変化するのかなど、対人スキルや“人となり”を考慮するために使用される。ちなみに、どのような人材を登用するかは企業によってまちまち。正解があるわけではない。あくまで人工知能は、正確なデータを取るためのツールという位置づけである。

人工知能が応募者を選考すると聞くと、正直、なんだか薄気味悪さを拭えない。書類選考ならまだ許容できるが、生体解析となれば、まるで“嘘発見器”に監視されているような気分になる。

しかし、AI面接はメリットも多い。ひとつは、採用者の先入観やコネを排除できる。また事前対策もできないので、企業が求める優良な人材を採用できる確率が上がるとされている。また、オンラインでほとんどの面接が可能となるので、遠方に住む応募者の時間・交通費を削減できる。

「現在、人工知能は採用だけでなく、チームビルディングや社員のモチベーション管理など、ヒューマンリソース部門全体で活用され始めています。今後、人間の上司やマネジャーが見抜けなかった社員の能力、心の動き、本音を探る作業に、本格的に使われていくかもしれません」(調査会社関係者)

AI上司が登場すると言うと少し大げさかもしれないが、将来的には新社会人だけでなく、働く人すべてに「機械を説得する力」がより求められていくことだけは確実かもしれない。

文=河鐘基

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