TSSBによれば、調査対象とした32組の仮想通貨の投資プロモーターのうち、少なくとも5組は潜在的な投資家に対し、高ければ1か月当たり40%の利益を保証する一方で、投資リスクについての説明をしていなかった。
また、プロモーターの3分の2近くは投資家らに対し、事業拠点の住所を明らかにしていなかった。TSSBは、事業者の実際の所在地が分からなければ投資家は、不正行為の被害に遭っても法的手段を取ることも、その他の救済措置を求めることもできない場合があると警告している。
報告書によれば、ビットコイン価格の急騰を受け、仮想通貨への投資に対する呼びかけは増加したものの、多くは実際のビットコイン投資とは無関係だった。さらに、そうした投資の勧誘においては、ハッカーがセキュリティーシステムに侵入する可能性や投資プログラムに生じ得る混乱、仮想通貨の盗難被害の危険性が説明されていなかった。
ウェブサイトにも要注意
そのほかTSSBは、投資家たちはウェブサイトに掲載された印象的な写真や輝かしい経歴などによって、投資プロモーターを過信することがあってはならないと警告している。
問題のある事業者の一例として報告書に挙げられているのは、TSSBが緊急措置を講じた仮想通貨の関連企業、リードインベスト(LeadInvest)だ。暗号化とデータ分析の専門家とされていた関係者の1人、「ルーシー・ベッソン」と名乗る人物のプロフィール写真は、実際にはモデルのストック写真だった。
また、同社は倫理規定に関連しておよそ10年前のジョージ・ワシントン大学ロースクールの出版物から取った写真を流用。その写真には元訟務長官のほか、連邦最高裁のルース・ギンズバーグ判事が写っていた。
TSSBはさらに、個人投資家が自ら友人や親戚を勧誘することでプロモーターから手数料を得られる契約にはサインしないよう呼び掛けている。適正な許可を取得せずにそうした行動を取れば、行政処分の対象となったり、民事・刑事責任を問われたりする可能性がある。
TSSBが調査対象とした32組の仮想通貨の投資プロモーターはいずれも、テキサス州内で有価証券の販売を行うための登録を行っていなかった。