ビジネス

2018.04.09 07:30

日本企業の99.7% データでみる「中小企業」の現在地

(Photo by David Mareuil/Anadolu Agency/Getty Images)

(Photo by David Mareuil/Anadolu Agency/Getty Images)

日本企業の99.7%、国内雇用76.8%を占める中小企業は、まさに日本経済の顔と呼ぶべき存在。黒字経営のまま事業をたたむ「黒字倒産」など暗いニュースが目立つが、統計データを読み込むことで光明も見えるはずだ。

特許

圧倒的な企業数にもかかわらず、中小企業の特許出願総数は大企業の5分の1以下。これを受けて、政府は法整備や相談機関設置など、中小企業の知財支援を年々強化。近年、大企業の出願数が減る中で、中小企業の出願数は増加傾向にある。知財獲得は、権利保護だけでなく技術力保持のアピール効果も期待できる。



新規事業

3割の中小企業が新規事業実施に前向き。実施企業の経常利益増加割合は未実施企業より10%高い。事業分野の選択では未成功企業、成功企業ともに既存事業の転用可能性を重視するが、大きく異なるのは展開背景。ディフェンシブな前者に対し、後者は取引先ニーズへの積極的対応などポジティブな動機が目立つ。



事業承継

倒産企業の半数にも上る「黒字倒産」の大きな原因が、後継者不足。総務省の予想によれば、2025年には全社長の64%が70歳以上、うち3分の2が後継者不在を迎える。円滑な承継のカギは早期の後継者選定と、第三者への相談。特に会計士・税理士への相談は承継時に揉めやすい資産引き継ぎの解決にもつながる。





人材活用

人材不足は中小企業が抱える大きな課題。経営の基幹にかかわる中核人材、一般的な労働人材でともに足りないのは、フロントエンドにあたる営業職と生産・運搬職だ。ほかに中核人材での管理職や開発職といった、コア部門での枯渇が目立つ。特に成長志向企業は、約6割の企業で人材不足だというデータも。

文=野口直希

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