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金融から紐解く、世界の「今」

Gil C / Shutterstock.com

古代神話に巨人伝説は数多いが、現代の巨人といえば、米国のフェイスブックやグーグル、中国のアリババやテンセントなどの「データ・ジャイアント企業」が挙げられるだろう。

ここ10年間で急成長したこれらの企業は、小売や通信、金融といった伝統的な産業分類の枠にはまりにくい。しかし、大規模なプラットフォームをもとに巨大な量のデータを集積し、これを付加価値の源泉としている点では共通している。言わば、「データを食べ続けて大きくなる巨人」とも言える。

また、これらの企業は、消費者に対し、SNSや支払決済などのサービスを無料、あるいは、かなり安価に提供していることも特徴である。しかし、経済学は、「タダのランチはあり得ない(There is no free lunch)」ことも教えている。消費者は実際には「マネー」の代わりに「データ」を提供する形で、サービスの対価を支払っているとみることができる。

このようなデータの「マネー化」は、データ・ジャイアント企業が登場する前から進んでいた。例えば、ポイントカードは、まさに消費者が自ら提供するデータを、「ポイント」という新しい形の支払手段に交換しているわけである。逆に、あえてポイントカード割引を使わずに現金で買い物をしている消費者は、「自分のプライバシーを買っている」とも言える。

現代のデータ・ジャイアント企業は、ポイントカードなどを通じてデータを支払手段に変換する段階を飛び越え、「データの入手」「データの活用」「サービスの提供」というプロセスを、巨大プラットフォームを通じて循環させている。消費者にとっては、これらの企業が提供するサービスを利用することが、そのまま、新たなデータを提供することにもなっているのである。

データと、銀行預金のようなデジタル化されたマネーは、「保管に物理的な場所を取らない」という点では共通している。加えてデータには、マネーにはない性質もある。まず、データは「使っても減らない」ということ、それから「データは集めるほど効用が高まりやすい」ということである。例えば、数人のデータから需要動向や選挙への影響などを推し量ることは難しいが、数百万人分を集めることができれば、データの力は急激に大きくなる。

巨大化するデータ企業

このようなデータの特徴は、「データプラットフォームの勝者は急速に巨大化しやすい」ということにもつながる。金融機関においても、「Too big to fail(大き過ぎて潰せない)」という問題が意識され、国際的な取り組みが進められたが、データ・ジャイアント企業の巨大化のスピードは、金融機関をはるかに超えている。

これも前述のように、データは、「保管に場所を取らない」ことに加え、「集めれば集めるほど有利」で「使っても減らない」という性質も備えているためである。この巨人は、自分のサイズを自分でコントロールすることが本質的に難しいのである。いったん大きくなり始めた巨人にはますますデータが集まって来やすいし、データは食べても減らないのだから。

このような、国の規模を超えて個人データの集積を進めるデータ・ジャイアント企業の登場は、政策当局にも、多くの新たなチャレンジをもたらしている。

文=山岡浩巳

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