ウエイトトレーニングは海外で最も人気のあるアクティビティのひとつウエイトトレーニングは、世界中の人々が愛するアクティビティのひとつで、健康効果が高いことも実証されている。それがなぜ日本では根付いていないのだろうか。
「インナーマッスルとか体幹を鍛えるといった新たなトレーニング方法がブームになると、必ず悪者にされてしまうのがウエイトトレーニングでした。筋肉をムダにつけても体が重くなるとか、スピードが落ちて動作に支障をきたすなどといった迷信が広がったため、日本ではウエイトトレーニングが普及していないのだと私は思っています。むしろ、インナーマッスルの効果を証明するエビデンスを私は目にしたことがありません」
世界の猛者を相手にしても互角以上の戦いを見せてくれる日本人アスリートは、ウエイトトレーニングによって海外の選手にも見劣りしないフィジカルをつくり上げている。野球のダルビッシュ有はメジャーリーガーを唸らせる速球を次々と投げ込むし、ゴルフの松山英樹はどのようなコースでも安定感のあるプレーでスコアを刻んでいく。テニスの錦織圭は相手の強烈なストロークに対し、それ以上に強力なカウンターでウイナーを量産する。
世界を湧かせる日本人選手たちはウエイトトレーニングでパフォーマンスを落とすどころか、世界的なエリートプレーヤーに成長している。これは周知の事実だ。
ビジネスの世界でも、海外のビジネスパーソンは、パーソナルトレーナーをつけてまでウエイトトレーニングを行い、フィジカルを常に良い状態にしようと努める。世界のフィットネスのトレンドをさまざまな角度から分析している『FITNESS BUSINESS』誌のアンケート調査によると、アメリカやイギリスでは、5、6人にひとりがフィットネスを習慣化させている。
2016年度版のアンケートでは、アメリカ人の好きなアクティビティの5位にフリーウエイティングがランキングされている。(註2)その理由を、実に52%の人が「FEEL BETTER!」と表現している。(註3)一般の人でさえ、何歳になっても人生を楽しめる体を維持するために、ウエイトトレーニングが必要だと知っているわけだ。
(註2)アメリカで人気 スポーツ&フィットネス活動
http://www.phitamerica.org/Benefits_of_Activity/Top_Activities_In_2015/Top_Growth_Activities_In_2015.htm
(註3)出典:IHIRSA刊『GLOBAL REPORT 2015』「アンケートでは、日本人でフィットネスを楽しんでいる割合も掲載されていて、たった33人にひとりというデータが出ています。この欧米との差はどこから生まれるのでしょう。日本人のほとんどがスポーツと出会うのは、小学校や中学校の部活動に入部したときです。
じつは、欧米では部活動よりもクラブスポーツが盛んです。地域に総合型のスポーツクラブがあって、小さな頃からバスケット、サッカー、水泳、テニスなどさまざまなスポーツと触れ合います。そのなかには、ウエイトトレーニングも当たり前のように入っています。運動する習慣が子どもの頃にできあがっているので、高校、大学に進学したときにスポーツ部を選択しなくても地域のクラブで運動する習慣は残るのです。
一方、日本人の場合、部活動を辞めてしまった瞬間から、運動する機会がぐっと減ってしまう。この状況をどう改善していくか、私たち、スポーツに関わる専門家は真剣に考えなければいけない時期に来ていると思っています」