ARデバイスとして再起を模索中の「グーグルグラス」

Peppinuzzo / shutterstock.com

終わったものとみられていた「グーグルグラス」が帰ってくるかもしれない。しかも、企業向けバージョンではなく、コンシューマー向けのデバイスとして──。

グーグルのハードウェア部門のバイスプレジデント、リック・オステロは英国のメディア「The Telegraph」の取材に対し「我々は高度なテクノロジーを投入したスマートグラスへの興味を失ったわけではない」と話した。

オステロは「今すぐアナウンスできるプロダクトがある訳ではない」と述べつつも、こう話した。「スマートフォンでは実現できないAR体験のあり方を探っている。様々な要因を組み合わせつつ、絶え間ないリサーチを行っているところだ」

「ARテクノロジーが成熟期を迎えるまでは、まだ時間がかかるだろう。数年を要することもあり得る。我々は長い時間をかけてこの分野の研究を重ね、テクノロジーを磨き上げている」

AR(拡張現実)とVR(仮想現実)との間には大きな違いがある。VRはデジタル空間の中に没入する体験を与えるのに対し、ARは現実空間に覆いかぶせるようにデジタルオブジェクトを投影する。

そもそもグーグルグラスこそが、最初にARに取り組んだデバイスだった。その後、マイクロソフトの「ホロレンズ(HoloLens)」や謎めいたスタートアップ企業として名を馳せる「Magic Leap」の登場により、ARは大きな注目を集めることになった。Magic Leapは今年中に「Magic Leap One」と呼ばれるデバイスを市場に送り込むと宣言した。

さらにアップルの「ARKit」やグーグルの「ARCore」といった新たなプラットフォームが、ここ数ヶ月で急速にARやMR(複合現実)に対する関心を高めている。

グーグルグラスの初期モデルが発売されたのは2013年の4月のことだった。1500ドルという高価格で「Glass Explorers」と呼ばれる開発者コミュニティ向けにリリースされた。

アップルもARグラスを開発中の噂

Google Nowのテクノロジーを採用したグーグルグラスはカメラを搭載し、メガネのツルの部分をタッチパッドとして使用できるほか、ボイスによる操作も可能だった。その後、グーグルグラスは2014年の5月に一般発売されたが、プライバシー侵害の懸念の問題などに直面し、売れ行きは伸びず、2015年の1月に販売中止となった。

しかし、その後もグーグルグラスは業務用の「Glass At Work」プロジェクトにおいて、航空業界や医療分野、製造業の現場で2年以上の間、使用されている。

アップルCEOのティム・クックはかつて、ARが未来のコアテクノロジーになると宣言していたが、昨年末にブルームバーグは「アップルが2020年にARグラスをリリースする」とのニュースを報道した。

アップルはメガネ型のARデバイスの開発に向け、既にサプライヤーとの話し合いに入ったとも伝えられており、テスト製品に使用する小型ディスプレイの発注を行ったとの説も流れている。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事