私は2014年にmanma(マンマ)という組織を立ち上げ、「家族留学」という取り組みを中心に運用してきた。これは、結婚・子育てに対して不安や関心をもつ若者が、実際に子育て家庭に一日体験訪問する取り組みである。
特に最近は、近年の女性活躍・働き方改革ブームに後押しされ、自身の女性としてのキャリアや両立に関心を持つ若い世代の参加が増えている。そんな若者に、自身の経験や、自らの結婚生活から得た知見を伝えていきたいという思いで、多くの先輩男性・女性達が、家族留学を受け入れてくださっている。
不妊治療を経験した方は、もし少しでも出産を望む気持ちがあるなら、身体的なデッドラインを予め知っておくことは重要だと話す。「子どもなんていらない」と思っていた方は、生まれて初めて知った可愛さや魅力を、同じような心持の人たちが知る機会になればと話す。結婚や家族という存在に対しては様々な価値観を持った人がいるが、フラットに、色々な視点から結婚や家族に関する考え方を学ぶことができる。
家族はチームである
米国の女性作家 Dowlingは1981年、著書「シンデレラ・コンプレックス」の中で、依然として多くの女性たちが「いつかは王子様と出会って結婚し、幸せになりたい」という願望を持っていることを指摘した。「結婚したら幸せになれる」「家族は家族であるだけで幸せである」──きっと、これまでは多くの人がそう思っていただろう。
しかし、今の時代においてその感覚は正しいのだろうか。私は、家族も会社と同じ小さなチーム、組織だと思う。それぞれが役割を持ち、組織がより良く発展するように試行錯誤していかなければいけない。そして、一つの大きなゴールに向けて、ともに助け合いながら歩んでいく。家族も会社同様、究極は他人の集合体なのだから、何もケアせず放っておいてうまく回るはずがない。
これから家族をつくっていく私たちの世代は、そんな家族のリアルさと向き合っていく強い想いを持った人が多いと感じている。
中高年の離婚も増加し、いまや、離婚率は全体で30%を越える。必ずしも離婚が悪いことだとは思わない。ただ、居酒屋で家族の愚痴をいう人たちの姿、連日続く不倫報道を見ていると、どうしてか心が騒ぐ。結婚は地獄の始まり、なんて言われることもある。みんな心のどこかで「結婚したって幸せになれるわけじゃない」と分かっているはずだ。
では、結婚なんてしなければよいのか。結婚の先にある幸せを諦めるべきなのか。私は、そんなことないと信じたい。結婚した”だけ”で幸せになれると思っていた時代は、もう終わっているのだ。