しかし、旅人たちの心無い行いが問題化している。現地の観光団体の「Pacific Asia Travel Association」はツーリストが珊瑚を破壊し、ペットボトルを海に投げ入れ、海亀の甲羅を持ち帰ったと声明で述べた。
パラオ当局は環境保全のため、海外からのツーリストが入国する際に環境への配慮を約束する文書への署名を義務付けた。この「パラオ誓約」はパスポートにスタンプされ、観光客は入国の際に署名を求められる。そして、誓約を破った場合は最大で100万ドルの罰金が課される。
パラオを訪れる旅行客のうち最大勢力は中国で、その数は6万6000人に及んでいた。その次に日本と台湾が続く。パラオ政府は環境にダメージを与えがちな人の国籍を明かしていないが、珊瑚を傷つけないための知識があまりにも浅い人が多いと指摘した。海に親しんでいるはずのダイバーですら、珊瑚を傷つけているとパラオ副首相のRaynold Oilouchは述べた。
「海にゴミを捨てたり、保護生物を捕獲したり、珊瑚に触れて傷つける行為が増えている。大したことに思えないかもしれないが、観光客が激増する状況下でこれは重大な結果をもたらすことになる」とOilouchは続けた。
今回導入が決まったパラオ誓約はオーストラリアから訪れた観光客の、Laura Clarkeとその夫の呼びかけで始まった。3年前にパラオを訪問したClarke夫妻は、たまたま知り合ったペルーの大統領夫人にこのアイデアを話したという。
その後、ペルーの現地の人々と「Palau Legacy Project」という名の活動を始動させ、その努力が実って今回の署名制度の導入が実現した。パラオ誓約は12月7日から始動し、12月15日時点で既に5800名以上が署名したという。