日本のモバイル端末市場はかなり独特だ。80年代から90年代にかけてエレクトロニクス分野をリードした日本はその後、内向きな姿勢を強めた結果、世界のスマホ市場でほとんど姿を見かけなくなった。
さらに日本のモバイルユーザーらは現在、2極化を進めている。高年齢層の消費者は今や時代遅れとなった国産のフィーチャーフォンにしがみつき、若い世代の多くはiPhoneを使用している。
日本のスマートフォン市場をリードするのはアップルで、iPhoneが市場シェアの52%を握っていると伝えられる。しかし、頻繁に東京を訪れる筆者の実感では、大都市圏ではiPhoneのシェアは4分の3程度に達しているのではないだろうか。
そんな中、中国メーカーの「ZTE」が非常にユニークな端末「Axon M」で日本市場にデビューした。Axon Mは“2画面スマホ”という変わった端末だが、中国メーカーとしては珍しく日米同時デビューを果たしたことも注目に値する。
ZTEは一体どうやって日本市場に乗り込んだのか。筆者が同社のマーケティング担当のJeff Yeeに尋ねたところ、こんな答が返ってきた。
「そもそものアイデアは日本のNTTドコモからだった。約2年前にドコモのメンバーが我が社を訪問し、『ここ10年ほどで、スマホはどれも似たようなものばかりになった。何か違ったことをやりましょう』と持ちかけられた」
Yeeによるとこの提案がきっかけで2社の取り組みが決まり、Axon MはNTTドコモで発売されることになったという。「ドコモと組んで、モバイル業界を変えたい」とYeeは話した。
北米ではシェア4位を獲得一方で、米国市場におけるZTEの取り組みも興味深い。同社は約2年前から米国に進出し、北米ではアップル、サムスン、LGに次いで4位のシェアを獲得。ZTEは北米で12.2%のシェアを握っている。同社が掲げるのはACWという戦略。つまりアメリカ、チャイナ、ワールドワイドだ。
ZTE は母国の中国よりも米国市場を意識しているとYee は話す。「当社は2017年に2000万台近くの端末を米国に送り込む見込みだ。ZTEは米国で最速で成長するOEM企業の一社となっている」
米国のスマホ市場に進出するにあたり、通信キャリアとの提携は重要だ。ZTEは米国でTモバイルやスプリント等と提携し、格安スマホの販売チャネルを広げてきた。また、NBAのバスケットボールチームのスポンサーも務め、ブランドの認知度を向上させた。
米国ではAxon MはAT&T限定の販売となるが、ファーウェイのアンロック端末がアマゾンやベストバイでしか入手できないのと比較すると、はるかに多くの顧客にリーチできることは確実だ。
ファーウェイも来年には米国のキャリア経由の販売を始動させる見込みだが、それまではZTEが中国メーカーとしては唯一、キャリアの販売チャネルを持つメーカーで居続けることになる。
一方で米国や日本で全く存在感が無いのがシャオミだが、同社は現在インド市場で大きな支持を集めつつある。また、ファーウェイはベルリンやバルセロナ、ミラノといった欧州諸国で積極的なプロモーション展開を行っている。また、ファーウェイの「Mate 10」は北米のガジェット好きの間で非常に高い評価を獲得している。