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2018.01.01 09:00

韓国フィンテック分野のユニコーン候補、送金アプリTossの野望

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送金アプリ「Toss」を運営する「Viva Republica」は韓国のフィンテック分野で最注目のスタートアップだ。

Viva Republicaの累計資金調達額は7600万ドル(約86億円)に及び、2017年3月にはペイパルの主導で4800万ドル(約55億円)を調達した。Tossのプラットフォーム全体の2017年の手数料収入は2000万ドルに達する見込みだ。また、Tossの単独の決済ボリュームも急上昇を遂げており2017年の決済総額は120億ドルに到達。これは月間10億ドルのペースだ。

一方、ペイパルが支援する別の送金アプリ「Venmo」の決済ボリュームは月あたり25億ドルとなっているが、この金額を達成するまでに4年を要していた。「Tossは1200万人の利用者を抱えており、間もなく黒字化を達成する」とViva Republica創業者のイ・スンガンは述べた。

元歯科医師のイが立ち上げたViva RepublicaはKPMGが選ぶ世界のフィンテック企業ランキングで2017年、35位にランクインした。これは米国のユニコーン企業「Lending Club」や「Coinbase」よりも高い順位だ。同社によると韓国の20代のほぼ半数が同社のサービスを利用中という。

韓国ではK Bankやカカオバンク等のインターネット限定の銀行が立ち上がり、カカオペイやネイバーペイ等のモバイル決済サービスも始動している。Viva Republicaは大手企業ほどのプロモーション予算は割けないが、口コミで支持を確立し、決済ボリュームは競合の4倍程度を維持しているという。

ただし、Tossには収益性の面で課題もある。かつては、手数料負担から赤字を生み出していたが、2016年にビッグデータ企業の「Infotech」とマーケティング企業の「Dohada」を傘下に収めた後、収益性を高めることに成功した。

2017年に入りViva Republicaは地元のフィンテック企業の「Finda」や「Korbit」「Tera Funding」らを子会社化し、サービスの拡充を行った。同社は総合的な金融サービスをワンストップで提供することを目指しており、財務状況を管理するためのダッシュボードやクレジットスコア、マイクロレンディングなどのサービスもリリース。現在ではビットコインのトレードにも事業領域を広げている。

また、今後はペイパルの協力も得て、ブランドの認知度の向上にも務めていくという。「事業を立ち上げた当初は、ここまでモバイル決済が韓国で広まるとは思わなかった。今後はブランディングにも注力していきたい」とイは述べた。

また、ペイパル側もTossが成功を果たしたマネタイズのビジネスモデルを、同社の決済アプリVenmoに投入していく予定だという。

2018年の計画として同社は、韓国内で3000万人の利用者獲得を目指している。また、フィリピンやベトナムでのパートナー企業との提携の話も進行中という。「Viva Republicaを韓国のフィンテック分野で初のユニコーン企業に育てたい」とイは話した。

編集=上田裕資

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