「次世代AIチップ」で動画ビジネスを変える、英Graphcoreの挑戦

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次のブレイクスルーを生むAIチップ

「ソーシャルメディアは人々のコミュニケーションに必須のツールとなった。ここで重要な課題となったのが、動画をいかにマネタイズしていくかだ」

GraphcoreのIPUはマシンラーニングのアルゴリズムに特化したチップだ。アップルやアマゾン、グーグルらは、マシンラーニングを活用した音声アシスタントサービスの能力に磨きをかけている。また、AI特化型のチップは、クラウド処理やネット接続に依存しないデータ処理が求められる自動運転車においても必須の製品といえる。

“IPU”という名前はこの分野の命名規則の進化を示している。最初に登場したのは、一般的なオフィス向けアプリケーションを作動させるセントラル・プロセッシング・ユニット(CPU)だった。次に、画像や動画を扱うグラフィック・プロセシング・ユニット(GPU)が現れた。

GPU市場で覇権を握ったのが、当初はゲームのグラフィック処理向けに開発されたエヌビディアの製品だった。エヌビディアのGPUは数千ものコアを内蔵し、並列処理が効率的に行えることからディープラーニングに用いられるようになった。

しかし、エヌビディアのGPUは純粋にディープラーニングでの利用を想定した製品ではなく、そのパワーには限界もある。そこで、AIに特化したチップ製造に乗り出すスタートアップとして注目を集めているのが、Graphcoreや米カリフォルニア州の「Wave Computing」だ。

「当社の製品の強みは、フレキシビリティと高レベルの処理能力だ」とToonは述べている。「我が社のチームは現状のニーズだけでなく、研究者やイノベーターらが描く未来を見据え、それにふさわしい性能を持つプロセッサを開発した。次のブレイクスルーをもたらす製品を、世に送り出していく」とToonは話した。

編集=上田裕資

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