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ロボットやIoTの専門メディア「ロボティア」代表

Elnur / shutterstock.com

中国の鉄道駅に、人工知能(AI)を搭載した「顔認証システム」が普及しはじめている。今年初めウルムチ駅に設置されたのに続き、10月の国慶節を前後して、山東省・済南、湖南省・長沙などの都市の駅にも同システムが登場した。

長沙南駅では、9月30日から正式に顔認証改札システムの運用が開始されている。同システムは、AIが「第二世代身分証」(偽造防止のため非接触式ICカード技術を用いた新しい身分証)と切符、そして旅行者の顔を照合。問題がなければ、利用者が駅に入場できる仕組みだ。

同駅では現在、片側の改札口にのみ顔認証システムを導入しているが、まだ使用に慣れない利用客がほとんどだ。そのため、駅員が改札口の横に立ち、利用方法をアドバイスしている。顔認証システムに対しては、多くの利用客が好奇心を示しているそうで、利用頻度も上々とのこと。駅側は、人工知能の識別効率が高く、国慶節に急増した利用客に対応するうえで大きな効果を発揮していると説明している。

なお、顔認証システムを使えば、利用者はおよそ3〜5秒で駅に入場することができるという評価だ。それまでは駅員が人力で確認を行ってきたが、その作業時間を大幅に短縮することに成功している。

ちなみに顔認証システムを通過する利用者は、必ず身分証明書と列車の切符をセットで所持しなければならないという。それらを提示し機械の前に立つと、システムが顔を照合して判断を行う。利用者はマスク、サングラス、帽子などを外す必要があり、また顔の部位を隠してはならない。加えて、身長が1.2mに満たない児童は使用が難しいという制限がある。

鉄道駅などにおけるAI照合システムの導入は、中国国民の生活の利便性向上に資するだろう。さらには、治安維持ツールとしても利用されていくかもしれない。

中国では9月にAI搭載型・犯罪監視ネットワーク「天網」の動画が流出し、物議を醸した。その動画内では通行人、バイク、自動車などを監視カメラが徹底的に追跡。「男性、40歳、黒のスーツ」、「白、SUV」など詳細なキャプションを添える姿が映し出されていた。

天網は、動くものを追跡・判別するAI監視カメラと犯罪容疑者のデータベースが連動したシステムだ。 AI監視カメラは「信号を無視した車」、「いきなり走り出す通行人」などを捕捉した後、その姿を拡大して“認証”をはじめる。もし対象が指名手配者リストに載った人物だと判明すれば、即座に警報が鳴る仕組みだ。

中国ではこの動画が流出と関連し、犯罪および事故をより効率的に防止できるとして支持する声がある一方、国家の監視ツールとして決定的な役割を果たすだけで、市民の生活向上には役立たないという否定的な意見が提起され始めている。

鉄道駅や列車はテロの標的になりやすい場所でもある。今後、顔認証改札システムと犯罪監視ネットワークがどう連動していくかも気になるところだ。

文=河鐘基

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