サングビは製造工程で問題が相次いでいた同業のランバクシー・ラボラトリーズ(Ranbaxy Laboratories)を親会社の第一三共から40億ドル(約4510億円)で買い取り、ランキング上位に躍り出た。当時はインドの製薬業界全体が、過去に例のないペースで富豪を生み出していた。
だが、10月4日に公開された2017年の「インドの富豪ランキング」で最も大幅に資産を減らしたのは、そのサングビだった。保有資産は前年比25%以上のマイナスとなり、3年連続で2位だった順位は今回、9位となった。
今年4~6月期のサン・ファーマの売上高は、前年同期比23%の減少を記録。理由の一つとしては、同社にとって最大の市場である米国で、後発(ジェネリック)医薬品の価格抑制に向けた動きが出始めたことが挙げられている。
インド後発医薬品業界の問題点
サン・ファーマとっての悩みの種は、インドの同業各社に共通したものでもある。医薬品の品質に関する問題を抱えると同時に、輸出市場での競争の激化にも直面しているのだ。
株式市場が全体的に好調な一方、製薬株は前回のインドの富豪ランキング発表時以降、17%近く下落した。こうした状況を受け、最新の長者番付からは製薬業に関わる3人が姿を消している。
リストに残った同業の富豪たちも、そろって資産を減らした。特に、いずれも同国ハイデラバードに拠点を置くドクター・レディーズ・ラボラトリーズ(Dr. Reddy’s Laboratories)のレディー一家(97位)とディヴィーズ・ラボラトリーズ(Divi’s Laboratories)のムラリ・ディヴィ(77位)は、それぞれ保有資産をおよそ30%減らした。
ドクター・レディーズの株価は今年9月、一つの工場がドイツ当局から製造過程の問題点で指摘を受けたことにより、株価が1日で6%下落。ディヴィーズ・ラボラトリーズは、米国向けに輸出する医薬品を手掛ける工場が米食品医薬品局(FDA)から警告を受けたことなどで、今年4~6月期の業績が減収減益となった。
こうした状況の中でわずかな例外となったのが、インタス・ファーマシューティカルズ(Intas Pharmaceuticals)の創業者、ハスムク・チュドガル(50位)だ。同社は評価額が35億ドルとなり、チュドガル個人の保有資産は、前年比70%増加した。
ノバルティス・インディア(Novartis India)のランジット・シャハニ副会長兼マネージングディレクターは、「ヘルスケア需要の大きさから考えれば、インドは依然として(最高の結果を見込める)スイートスポットだ」と指摘している。