GWは(大麻由来の)カンナビジオールを使い、多発性硬化症や複数の難治性てんかんの治療薬開発に取り組んでいる。唯一商品化されているサティベックス(Sativex)は、多発性硬化症の症状緩和剤として30か国(米国は含まない)で使われている。
9月30日に終了した会計年度の決算報告によれば、同社の収益は2015年に比べて64%減。営業損失は51%増で、最終赤字は前年比43%増だった。
またGWは、難治性てんかんであるドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群の治療薬エピディオレックス(Epidiolex)の第3相臨床試験の新たなデータも発表。14週間の臨床試験で、エピディオレックスとプラセボ(有効成分を含まない錠剤)を投与した患者の発作減少率に大きな差が確認された。
医療サービス提供者たちからは、患者の総合的な症状に改善が見られたことや、副作用が軽かったという報告があった。
GWのジャスティン・グローバーCEOは、エピディオレックスの有効性が認められたこれらの臨床試験結果を受けて、2017年半ばに米食品医薬品局(FDA)に承認申請を行いたいと表明。2018年前半には承認が得られることを期待していると語った。
FDAの承認が得られた場合、米国内での処方が認められるためには、さらに米麻薬取締局(DEA)による同薬のスケジュール(分類)変更を受ける必要がある。GWは申請書類の中で、スケジュール3または4に分類されることを期待するが、米国の患者向けの利用が認められるまでにDEAで越えなければならない幾つかのハードルについても記している。
またGWは、年度末の報告書で「トランプは選挙戦において、貿易政策や貿易協定についての変革、FDAの改革、さらには医療保険制度改革法(いわゆるオバマケア)の無効化やメディケア(高齢者・障害者向け公的医療保障制度)が給付する処方薬の価格交渉法を変えることを提案していた」と指摘。
トランプ政権によって、米国内をはじめ、対外貿易や海外製品の製造・開発・承認や商業化などにまつわる法律、政策が変われば、同社の事業にマイナスの影響を及ぼしかねないとの見解を示している。
またGWは、本社のあるイギリスのEU離脱問題にも注目。「先行き不透明感から金融市場が大幅に変動し、それが当社のADS(米国預託株式)の価格に影響かねない。規制面でも新たなコストや難題に直面する可能性がある」としている。またブレグジットは既に為替レートに打撃を与えているとも指摘した。
GWは、2017年には資金支出が1億~1億2,000万ドル(約114億円~136億円)のレンジに増加することが予想されるとする一方で、現在4億8,300万ドル(約550億円)の現金および現金同等物を保有していると主張している。
「投資家たちは、説得力のある製品を開発している企業を是非とも支援したいと考えている」とグローバーは言う。「頻繁な発作に悩まされている子どもたちにとって、この薬は新たな希望なのだ」