仕事先や学習室などで、授業やセミナーの動画を見ながら勉強する人が増えたと感じる。黒板の前に固定したカメラでそのまま授業などを録る場合、話し手には、視聴者を飽きさせない工夫が必要だ。
どうしたら、見やすく記憶に残る話し方ができるのか?
これは、セミナー動画を作成する人だけの問題ではない。というのも今は、誰でも自分で映像を配信できる時代。この流れがさらに加速することを考えると、今後ますます“見る目”も厳しくなっていくと思われるからだ。
そもそも私たちが映像を見るとき、そのお手本となっていたのはテレビだろう。テレビ離れが進み、オールドメディアともいわれるが、テレビに求められるものが変化していてるのに対し、話し手の工夫や方法が追いついていないということがあるのではないだろうか。
では、何が求められているのか。まずは、ニーズの変化から見てみよう。
東京、大阪、愛知、高知の男女(15歳~69歳)2500人を対象にした、メディア定点調査で得られた「テレビについてイメージ調査」結果を参考にしてみよう。ここではテレビに求める項目として「わかりやすい・楽しい・感動、興奮・身近・落ち着く・人気・ポリシー・仲間との話題・おもしろい・信頼・役に立つ・センス、かっこいい・時代を切り開く・活気・幅広い・早い」などをあげていた。(『メディアガイド2017』博報堂DYメディアパートナーズ編)
これによると、PCとスマホのアクセス数が逆転する2015年のモバイルシフト以降、テレビに求められていることは、「役にたつ情報がわかりやすく、かつ、モラルのあるレベルでみれる」ということだと明らかになった。逆に期待しなくなった項目は、「活気、センス、カッコいい、落ち着く」である。これらにあわせてテレビの出演者は、いかにチャンネルを変えられないようにするか、工夫を求められるというわけだ。
この結果から、私たちが参考にしたい点は以下のとおりだ。
まずは出だし。ここでは、これから話すことが「相手に、今、どう役だつ」のか指摘する。あるいは、今後のあなたとこういう風に関わっていくかもしれないという助言をすることが重要だ。
次の内容に移るときは、覚えやすく楽しそうな「見出し言葉」もつけたい。そして、最後に、話した内容に関する自分の意見や感想などを、「自分のモラル」で発する。これで、聞き手があなたのファンになるかどうかが決まる。
他に見やすくする工夫として、伝えたい内容を質問形式にするというのもいい。用意するのに手間はかかるが、質問の答えはフリップボードについた付箋をめくるなど、ゲーム感覚にするのもいいだろう。その際は、答えを出すまでの時間が“短く”なりすぎないようにご注意を。