米コロンビア大学メディカルセンターとニューヨーク長老派教会病院の研究者からなるチームはこのほど、そうした健康への悪影響について、新たな発見があったことを明らかにした。
米医学誌アナルズ・オブ・インターナル・メディシンに9月12日に発表された新たな研究結果は、およそ8000人の7日間の活動データを収集。対象者をその後4年間にわたって追跡調査した結果を分析したものだ。
収集したデータによると、調査対象者らが1日の起きている時間(平均16時間)のうち、座っていたのは平均12時間だった。調査期間中には、異なる死因によって340人が死亡している。
研究チームはデータを分析した結果、座っていることと死亡率の関連性について、興味深い点を確認した。長時間座り続けていた人の死亡率が上昇していたことは、すでに驚くには値しない。だが、座っている間のどのタイミングで立ち上がって動くかが、死亡率の上昇に影響を与えていたことが分かったのだ。座ってから30分以内に立ち上がっていた人は、60~90分ごとに立ち上がっていた人たちと比べ、死亡リスクが大幅に低下していたという。
研究結果をまとめた論文の主著者は、長時間座っていることが仕事上、または日常生活の中で避けられない人たちについて、「30分に一度、動くための時間を取ることを勧めたい。現時点では、どの程度の活動量が最適であるかについては明確になっていないが、この一つの行動の変化が、死亡リスクを低下させる可能性がある」と述べている。
この研究はわずか7日間の行動を監視したデータに基づくものであり、追跡期間も数年にとどまる。得られた結果に限界があることは確かだ。さらに、逆の因果関係があった可能性も指摘される。つまり、あまり健康ではない人は、その結果として動かずにいる時間が長くなる可能性があるということだ。
ただ、それでも過去の多くの研究結果が、新たな研究結果を十分に支持していることは確実だろう。心臓血管系、免疫系、神経系、そして精神的健康の面からも、「座っていることは不健康だ」と言って間違いないと見られる。
私たちは一定の時間をおいて立ち上がり、動くことを忘れるべきではないだろう。「ジャンピング・ジャック」やヨガをしたり、同僚と立ち話をしたり、外に出て少し歩いたりすることが必要だと考えられる。
さらに、たとえ時々立ち上がって動いていたとしても、長時間の座り姿勢が死亡率の上昇と関連していることには変わりがない。この点には注意しておくべきだ。著者らが言うとおり、定期的に動くことは「悪影響を最低減にとどめるための行動パターン」であるにすぎない。
また、新たに発表された論文の共著者は、座っていることについて次のように述べている。
「今回の研究は、臨床医師・研究者らの間で高まっている認識を裏付けるものとなった。座っていることはいまや、喫煙と同様だとみなされている」