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2017.08.31 10:00

世界の金宝飾品需要、一部地域で改善 中東で大幅な伸び

Faraways / Shutterstock.com

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世界の金の宝飾品需要は今年第2四半期、前年同期比8%増の480.8トンとなった。だが、2016年下半期に需要が縮小していたことから考えると、期待したほどの改善はなかったと見る向きも多いかもしれない。

世界的な金の業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の報告書「ゴールド・デマンド・トレンド」によると、同期の需要は過去5年間の四半期ごとの平均である586.2トンを大幅に下回った。

今年上半期の需要は、低水準だった前年同期から5%増えて967.4トンとなっている。ただし、WGCが金宝飾品に関するデータを取り始めて以来、ジュエリーの上半期の需要が1000トン未満となったのは4回目だ。以下、世界の各地域の需要を大まかに紹介する。

インド

世界的な金宝飾品の需要を支えているのはこのところ、世界第2位の市場であるインドとなっている。同国での今年第2四半期の需要は前年比41%増の126.7トン。WGCの期報告書によれば、7月1日からの物品・サービス税(GST)の導入を前に在庫を確保する目的での輸入が増加。5月に過去最多の104.6トンに達したことが大きく影響したと見られている。

中国

世界最大の金宝飾品市場である中国の需要は、今年第2四半期に前年同期比5%減の137.7トンとなり、過去5年で最低の水準を記録した。また、今年上半期の需要は前年同期から4%減少した。ただ、中国の需要は2013年をピークに減少を続けていることから、WGCは底入れが近いとの見方を示している。

その他アジア各国

アジア地域のその他の市場は今年第2四半期、一部に例外はあったものの、全体としては中国に比べ堅調に推移した。ベトナムの需要は同期、前年比10%増の3.9トンを記録。宝飾品需要は2008年以来、2番目に高い水準となった。

米国

米国の今年第2四半期の金宝飾品の需要は前年比4%増の26.9トンとなった。過去5年間の四半期平均、28.9トンを下回ったが、WGCは同国の需要が2012年以降、じわじわと増加し続けている点を指摘している。

今年上半期の需要増は、消費者心理の改善に負うところが大きいという。前年同期比4%増の49.9トンを記録した。上半期の需要としては2009年以来、最多となった。

中東

トルコの国内で金価格が下落したことを受け、今年第2四半期の宝飾品需要は前年同期比20%増となった。トルコリラ高が続いたことも影響した。WGCはこれについて、「3月に外国為替市場でリラ相場が最高値に近づくと、金宝飾品の売り上げが伸び始めた。特にウェディングシーズン前だったことも大きかった」と説明している。

また、イランの金宝飾品市場は今年第2四半期、需要が前年同期比15%増の10.2トンに達した。引き続き力強い伸びを見せている。大統領選でハッサン・ロウハニが地滑り的勝利を収めて再選を決めたことを受け、消費者マインドが大幅に改善したと見られる。また、WGCは今年下半期に利下げ行われるとの見方も示している。上半期の需要は前年比20%増の22.9トンを記録。上期の需要としては、過去4年で最多となった。

欧州

欧州では今年第2四半期も、金宝飾品の需要は伸び悩んだ。域内全体では前年同期比4%の減少となっている。特に需要が低迷したのは英国。前年同期比10%のマイナスを記録した。四半期としては過去3年で最も少ない3.8トンとなっている。WGCは、「欧州からの離脱(ブレグジット)がもたらす長期的な不確実性」を理由に挙げている。

ただし、イタリアでは今年第2四半期、需要が安定し始めたことが確認された。「長期に及んだ市場の下降傾向に歯止めがかかり、今年下半期には一定の伸びを望める可能性もある」との見方が出始めている。

編集=木内涼子

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