今年1月から前年比での販売台数の減少が続く米国市場全体では、7月の新車販売台数が同7%減少。主にゼネラル・モーターズ(GM)とフィアット・クライスラーの2桁台の減少が大きく影響した。
ただ、需要がピークを過ぎたことを認識している各社はより収益性の高いモデルや顧客層などに焦点を絞り込んでおり、すでにいくつかの対策を講じている。収益が見込めない事業を縮小しており、例えば、ディーラーへのインセンティブの提供や特定の工場での生産、利益率が低くなる(レンタカー会社など向けの)「フリート販売」の見直しなどを実施している。
自動車売買情報サイトのオートトレーダー・ドット・コムのアナリストは、米国の自動車業界が7年連続で前年を上回る販売台数を記録、昨年の乗用車・トラック販売台数が1750万台を上回ったことを指摘している。それ以前の20年間の年間販売台数の平均は、1430万台だ。こうした状況を受け、「メーカー各社は熟慮した上で、割引販売はしないとの決断を下している」という。
大型車は好調
GMの販売台数は7月、前年比15.5%減少した。ただ、シボレー・エクイノックスやGMCアカディア、ビュイック・エンビジョン、キャデラックXT5などの大型車の売れ行きが好調だったことによって、減少の一部は相殺されている。同社はまた、小型車の生産を縮小してクロスオーバー車の生産を増やす方針。シボレー・ボルトを含む6モデルの生産台数の削減を検討中だ。
フォード・モーターは同7.4%減少。フリート販売が2桁台の減少となったことが一因だ。リンカーン・ブランドとフォードの乗用車の販売は合わせて19%減少。コンパクトカーの需要が軟調だったことを受けてフィエスタが伸び悩んだほか、フュージョンの販売台数も減ったためだ。ただ、トラックのベストセラー、Fシリーズとその他のSUVは好調だった。
FCAは 10.5%減。クライスラーとダッジの不調が響いた。トラックのダッジ・ラムは0.1%の微増となっている。業界全体を見ても、大型車の販売は好調だ。
日本メーカーは「健闘」
一方、トヨタは同3.6%増と、各社の中で唯一、販売台数を伸ばした。SUVのハイランダーが大きく貢献した。
ホンダは1.2%減となったが、米国市場での販売台数が最多のシビックが11%増を記録。さらに、コンパクトクロスオーバーのHR-Vは32%増えた。
日産は全体では3.2%減らしたものの、クロスオーバーとSUV、トラックが7月の販売台数としては過去最多を記録。マツダはCX-5クロスオーバーが同様に7月の販売台数で最多となり、全体の販売数を3%減にとどめた。