上海企業のOmnichargeは「世界最小のACプラグ対応でUSB急速充電が可能なモバイルバッテリー」をIndiegogoに出品し310万ドル(約3億5000万円)を調達した。北京の電動自転車企業Flux BikesもIndiegogoで170万ドルを調達。同じく北京のスマートウォッチ企業Tic Watch 2もキックスターターで200万ドルの調達に成功している。
クラウドファンディングは米国進出を目指す中国企業にとって、非常に有効な手段だ。米国人たちをオンライン上で熱狂させ、資金を調達するだけでなく、顧客からのフィードバックも得られるクラウドファンディングはまさに理想的なプラットフォームと言える。
しかし、クラウドファンディングにはリスクもある。初期のプロダクトを大衆の目にさらせば、欠点を指摘されることもあるし致命的なダメージをブランドに与えることもある。ここで求められるのは消費者と直接つながるダイレクトマーケティングの知識だが、多くの中国企業が既に失敗を犯している。
この記事では中国企業が米国のクラウドファンディングで成功を目指す場合に注意すべき、3点を挙げてみた。
1. メールのプロモーションの重要性を理解する
筆者の経験から言うと、一部の中国企業は母国でとった戦略をそのまま海外市場に持ち込もうとして失敗する。中国では顧客に対しWeChatを通じアピールするのが当り前だが、米国ではメールを通じたプロモーションが非常に重要だ。米国進出にあたっては現地のマーケティングに精通したパートナー企業を見つけるのが得策だ。
2. 中国語が話せる企業とばかり組まない
中国企業の多くは中国語が流暢に話せる現地パートナーと手を組みたがる傾向があるが、これも得策とは言えない。中国語のレベルの高さと米国でのマーケティングの理解度は関係が無い。
フェイスブックでのPRがいかに重要であるかを認識しないまま、米国でマーケティング活動を行う中国企業もある。また、英語のネイティブスピーカーが理解できない商品説明を、クラウドファンディングのプロモ動画で流している企業もある。
英語がネイティブでないマーケティング担当者が、米国の消費者に刺さる商品説明文を書き上げるのはかなり難しい。こういう面でもやはり、信頼のおける現地企業と提携すべきだ。
3. 安すぎる価格にしない
中国企業の多くは製造面で非常に高い能力を持ち、低コスト化への努力を怠らない。しかし、商品をより安く消費者に届ける努力を重ねる一方で、マーケティング費用を計算に入れず、安すぎる価格で製品を送り出して失敗するケースもある。
仮にマージンが50%以上あったとしたら、売上を広告費に注いでさらに売上を伸ばすことが可能になる。しかし、10%や20%のマージンの製品では常に5倍や10倍のリターンが得られる広告を出し続けなければならないことになる。
このような成果を生むマーケティング活動を継続することは非常に困難だ。また、一切広告に頼らずに成立する製品を企画するのも現実的ではない。
価格設定にあたっては、マーケティング費用を見込んだ価格にするのが賢明だ。さもなくば、海外に市場を広げる前にプロジェクトが頓挫してしまうだろう。