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CSAILが開発した長さ2cmのロボット(Credit: MIT)

1966年公開の映画「ミクロの決死圏」は、ミクロ化した外科医たちが患者の体内に潜り込んで治療を行うというストーリーだった。それから50年以上が経った現在、農業など多くの分野でロボットが活躍しており、医療においても、かつては空想科学の世界と思われた技術が現実のものとなろうとしている。

医療現場でロボットが最初に用いられたのは、1985年に行われた定位脳手術だ。以来、エンジニアリングやAIの進化でロボット技術は目覚ましい進化を遂げており、今では人工股関節置換手術や内視鏡検査など、幅広い分野でロボットによる外科手術が行われている。

こうした医療用ロボットについて先進的な研究を行っているのが、マサチューセッツ工科大学のコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)だ。同研究所のダニエラ・ラス教授率いる研究チームは昨年、患者が飲み込むことができ、体外から磁石を使って操作できるロボットの開発に成功した。

ロボットの長さは2cmで、乾燥させた豚の腸に取り付けられている。「開発において、生体適合性を備え、操作が簡単にでき、ロボットが行う手術に適した素材を見つけることが困難だった」とラス教授は話す。

このデバイスは、折り紙状に折りたたんで氷のカプセルに収納して飲み込み、胃の中で氷がとけるとデバイスが広がる仕組みになっている。研究者らは、豚の胃袋に胃酸の代替としてレモンジュースと水を混ぜた液体を入れて実験を行った。

体内から治療を行うロボット

実験開始から1年が経過したが、ロボットはまだ実用化に至っていない。「現在、我々は動物実験の申請を行っている。動物実験を終えるまでに3年、人間に使えるようになるにはさらに3年ほど掛かるため、実用化には最低でも6年を要する見込みだ」とラス教授は言う。

この技術が認可されれば、薬を投与したり、体内の傷を処置したり、誤飲した物体を取り除くなど、幅広い治療への応用が期待される。そもそも、CSAILがこのロボットを考案した目的の一つは、誤って飲み込むことの多いボタン型電池を患者の体内から除去することだったという。

「切開手術をすることなくこうした治療が行えるというのは素晴らしいことだ」とラス教授は話す。

CSAIL以外にも、世界中の多くの研究機関が医療ロボットの開発に取り組んでいる。例えば、ユタ大学ではリハビリを支援するロボットを導入しており、スイスのARTORGセンターは人工内耳手術用のロボットを開発した。

「MRIにより体内の状態を高い精度で観察することができるようになった今日において、体の中から治療を行うロボットの開発は、非常に興味深い研究分野だと言える。25年前の医学の水準を考えれば、今から20年後に医療用ツールがどれだけ進化しているかは想像もつかない」とラス教授は言う。

編集=上田裕資

 

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