米国の現行の連邦法人所得税率は35%で、世界でも最も高い水準だ。各社が法人所得税率の低いアイルランド(15%)をはじめとする各国に、収益性の高い事業を移転させるのも驚くべきことではない。米国企業が海外に滞留させている利益は、総額およそ2兆ドル(約217兆円)と推定されている。そして、現時点でそれらを米国に戻そうとすれば、税金を支払わなくてはならない。
企業の側からみれば、彼らは税金を取られ過ぎている。各社が2016年に収めた法人所得税額は、総額約4440億ドル。連邦政府が徴収した税額およそ2兆2000億ドルの5分の1程度に当たる。
トランプ政権が法人税制改革を実現すれば、最大の恩恵を受けるのは誰だろうか?当然ながら、それは高額の法人税を納める企業だ。金融関連情報などを提供する米ファクトセット・リサーチ・システムズの協力を得てフォーブスがまとめたところによると、年間売上高が800億ドルを超える米国の大企業30社の中でも、法人所得税額が多いのは以下の各社であることが分かった(かっこ内は2016年の売上高)。
アップル: 158億ドル(2170億ドル)
ウェルズ・ファーゴ: 100億ドル(980億ドル)
JPモルガン・チェース: 98億ドル(1030億ドル)
バークシャー・ハサウェイ: 92億ドル(2230億ドル)
ベライゾン: 74億ドル(1260億ドル)
AT&T: 65億ドル(1640億ドル)
バンク・オブ・アメリカ: 64億ドル(920億ドル)
シティグループ: 64億ドル(840億ドル)
ウォルマート: 62億ドル(4850億ドル)
コムキャスト: 53億ドル(800億ドル)
アルファベット: 47億ドル(900億ドル)
ホームデポ: 45億ドル(950億ドル)
マイクロソフト: 33億ドル(850億ドル)
ゼネラル・モーターズ: 24億ドル(1660億ドル)
アマゾン: 14億ドル(1360億ドル)
30社が過去12か月間に法人所得税費用として計上した金額は、合計1170億ドルだった。また、各社に実際に適用された税率は、平均26.7%となっている(アップルは25.8%)。
一方、これら30社のうち、エクソンモービル、ゼネラル・エレクトリック、シェブロンの3社は2016年にそれぞれ1000億ドルを超える売上高があったものの、控除が適用されたために法人税を免除されている。