収益の柱になりそうだと思えたのは、スモールビジネス向けの広告事業だった。小規模企業らはオンラインでの認知度の向上や、デジタル広告の展開の仕方に悩んでいた。
以来、サンドバーグは小規模ビジネス向けの施策に注力した結果、昨年のフェイスブックの広告売上は269億ドル(約2.9兆円)に及び、グーグルに次ぐ規模に成長した。フェイスブックは4月10日、同社のアクティブな広告主が500万を突破したと発表した。昨年9月の400万から100万の伸びとなった。
アクティブな広告主は500万に増加
現在、フェイスブックに企業ページを持つ企業数は6500万社。インスタグラムにプロフィールを持つ企業数は800万社。フェイスブックの強みは世界19億人の利用者にリーチできるという点だけではない。カジュアルな一般ユーザーたちが、ある日フェイスブックを通じ小さな事業を始められるのだ。
「何より素晴らしいのは6500万社の企業ページは、ユーザーが自発的に開設したものだという事実です。かつて個人としてフェイスブックにプロフィールを持っていた人々が、自分の意志で企業ページを立ち上げているのです」
フェイスブック広告を利用する企業の大半を中小企業が占めており、4分の3近くは米国外からだ。中でもインドやタイ、ブラジル、メキシコといった諸国での利用が急速に伸びており、Eコマースや小売部門での利用が活発だ。新興国での利用が高まる中、フェイスブックが注力を強めるのがモバイルでの操作性の向上だ。
「今ではスマートフォンを用い、手軽に広告動画が作成できるようになりました。ほんの数ドルの費用で顧客にリーチできるこのツールを、500万社もの企業らが活用しています」
かつては巨額な予算が必要だった広告展開を、フェイスブックはスモールビジネスにも可能にした。地域を絞り、性別やユーザーの属性に合わせた出稿も可能だ。「我々は小規模企業でも大企業と同じスケールの広告展開が可能なプラットフォームの創出を目指してきました」
フェイスブックから起業する人々
この動きを進める中で利用者からフィードバックを得ることは非常に重要だ。フェイスブックは2014年に「スモールビジネスカウンシル」と呼ばれるプログラムを米国で始動。顧客たちの声を集め、広告の配信や測定ツールの改善、ターゲティングの向上に務めてきた。
このプログラムはインドやブラジル、ドイツでも展開し、インドでは利用者の意見から、スライドショーを活用した広告手法が生み出された。これによりネットの接続速度が遅い新興国でもリッチな広告配信が可能になる。
フェイスブックのグローバル部門のDan Levyによると、昨年は世界で200のスモールビジネス向けのイベントを開催したという。4月10日、フェイスブックは米国のスモールビジネスの現状を紹介するサイトを開設した。そこでは規模や業種も様々な40社が参加し、事業を成功に導くノウハウを公開している。