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ウーバー・テクノロジーズ共同創業者兼CEOのトラビス・カラニック(写真=ティム・パネル)

ウーバーはなぜ、シリコンバレー史上最速の成長を実現し、世界最大のユニコーン企業になれたのか。その原動力には、カラニック流の創造的問題解決思考があった。


ウーバー社の会議室で、トラビス・カラニックが雑音を遮断して考え込んでいた。グレーのポロシャツとチノパンに、黒のスニーカーを履いた彼は席を立つと、バスケットボールのコーチのように会議室を端から端まで歩きながら、コーヒーをすすり、紙カップ入りのドライフルーツをつまみはじめた。

この日、テーブルを囲む6人の若い男たちは、このウーバーの創業者兼CEOに、3週間前に発表された新たなウーバー・アプリの初期反応を報告しにやって来ていた。ユーザーにはアプリデザインの微調整にしか見えない今回の変更点。実はダウンロード数や使用感、待ち時間、顧客の定着率など、サービス全般に大きな影響を及ぼすものなのだ。

「これは測定方法で生じている問題か、真の問題か。いったいどちらだろう」

カラニックは80分間にわたり、あらゆる図表を吟味し、前提となる条件を問いただした。不可解に思える数値があれば、取り上げてコメントを加える。自分のiPhoneを何度も取り出しては、細部の変更が実際のユーザーにどれほどの影響を与えるかをチェックした。満足げな表情を見せたり、少しいらだったりするカラニック。この日も会議室では、“究極の論理クイズ”が繰り広げられたのであった。

「ジャムセッション(ジャム)」と呼ばれるこういったミーティングは、ウーバーにとって極めて重要なプロセスだ。ジャム次第で、問題点がアイデアに、アイデアがプロダクトに変わり、そしてプロダクトの評価さえも決まる。「ウーバーの効率性の向上」を目指し、ジャムは時に数日間、あるいは数週間続く。カラニックは膨大な数のジャムを通じて、「ウーバー体験」の主要部分にほぼ全面的にタッチしているという。

無慈悲、倫理観に欠ける、邪悪な天才、大ボラふき、クソったれ─、彼の人柄を表す異名は、数多くある。確かにそのすべてが、カラニックという人間の特徴をつかんではいる。しかしどの言葉からも、なぜ彼がウーバーを史上最も裕福なスタートアップ(時価総額680億ドル)に成長させられたのかを、知ることはできない。

カラニックは他の起業家と何が違うのか。

スタートアップ創業者なら、誰もがビジョンをもっている。ただ多くの創業者が、ビジョンの“熱狂的な伝道者”になる一方で、カラニックは事業を前進させる“問題解決者”として働くのだ。

「彼はぶっ続けでジャムを行います。時には1日3〜4時間に及ぶこともありました」と、ウーバーのスアン・ファム最高技術責任者(CTO)は言う。ささいだが好結果を生む“微調整”を好むカラニック。トラブルシューティングの能力こそが、彼の起業家的な特性なのだ。

「あらゆる問題は非常に興味深くて、それぞれ独自のニュアンスをもっている。問題を解決するときは、あるアーキテクチャー(構造・基本設計)に従って解決しようとしたほうがいい。そうしておけば、後日似たような問題を解決するためのマシンを組み立てたことになるんだよ」と、カラニックは言う。「そのうえで次に進むのさ」

編集=山本隆太郎、翻訳=町田敦夫

 

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