米国政策財団(NFAP)が先ごろ発表した報告書によると、全米の高校生を対象に行われる科学コンテスト、「インテル・サイエンス・タレント・サーチ」では2016年、最終候補に残った40人中33人(83%)が移民の子どもたちだった。これらの高校生の親には、家族での移住者、雇用による移住者の双方が含まれていた。
また、最終選考に残った40人のうち30人(75%)の親が、米国の企業で働く外国人労働に発給される「H1Bビザ」を取得して就労。その後に永住権や市民権を取得していた。一方、両親ともに米国生まれの米国人という高校生は、7人だった。
当初はH-1Bビザで米国に居住していたという人が、米国の全人口に占める割合は1%以下だ。それにもかかわらず、その人たちの子どもが2016年のサイエンス・タレントサーチ(STS)で最終選考に残る確率は、その他の子どもたちの4倍の高さだったということになる。
留学生として米国に住み、その後に永住権を取得した人たちの子どもが最終選考に残る確率も同様に、両親がどちらも米国生まれだという子どもたちより高かった。
インド系が最多、日本人の親持つ子も
2016年のSTSの最終候補の高校生40人のうち、27人(68%)の両親は、米国への留学生だった。これは、留学生が卒業後に米国に残って就職することができなくなれば、その子供たちに期待される米国への貢献の可能性が失われるということを意味する。
40人のうち14人は、両親がどちらもインドからの移民だった。また、11人は両親がともに中国出身だった。米調査機関ピュー・リサーチ・センターによれば、インドまたは中国生まれの人が米国の人口に占める割合はそれぞれ約1%だ。
2016年の最終候補に残った高校生の親の出身国・地域にはその他、カナダ、キプロス、イラン、日本、ナイジェリア、シンガポール、韓国、台湾が含まれた。
移民の子の影響力は増加
移民の子どもはますます、米国の科学界に対する影響力を増している。2004年の最終候補40人のうち、少なくとも一方の親が移民だった高校生は24人(60%)だったが、2011年にはその割合は40人中28人(70%)に増加。さらに、2016年には40人中33人(83%)に増えていた。
STSは高校生対象のノーベル賞とも呼ばれ、優勝者の95%以上がその後、科学の道に進んでいる。また、70%が博士号(Ph.D)、または医学士号(M.D.)を取得。起業を目指したいとの希望を語った受賞者も数多くいる。
同コンテストは今年、スポンサーの変更により「リジェネロン・サイエンス・タレント・サーチ」に名称を変えて、3月9~15日まで開催されている。