「Barskyの逮捕は残念だが、会社には全く関係がないことだ」とペトロソフはフォーブスの電話インタビューで述べている。Barskyが担っていた職務は、ペトロソフが引き継いだという。「私の責任が少し重くなっただけで、事業への影響はない」と彼は話す。
同社にとって経営幹部の退職は、この1年で2回目のことだ。逮捕されたBarskyは、2016年1月にCEOに昇格する前、CFOを務めていた。後任のCFOには、Joey Epsteinが就任したが、彼のリンクトインのプロフィールによると、わずか10か月で退職している。現在のCFOは、かつてTradeStationでCFOを務めたEdward Codispotiだ。Codispotiは昨年10月にJetSmarterに入社している。Epsteinにコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
ペトロソフはロシア出身で、フロリダ大学を卒業している。彼は2013年にJetSmarterを創業する前に、テック系スタートアップを2社立ち上げている。JetSmarterのビジネスモデルを考案したきっかけは、友人らがプライベートジェットに乗せてくれたことだったという。彼は、プライべートジェットが空席だったり、地上で駐機している時間が多いことに驚き、ウーバーのようなライドシェアリングモデルを導入すれば、乗客を乗せる機会を増やすことができると考えた。
年会費だけで130億円の売上
JetSmarterの専用アプリには、プライベートジェットの空席情報が掲載されている。アプリを利用するための年会費は15000ドルで、フライト料金を別途支払う必要がある。「高い金額を支払ってもプライベートジェットを利用したいユーザーは多い」とペトロソフが話す通り、現在の会員数は8000人で、月間20000人が同社のサービスを利用しているという。ペトロソフは売上高を明らかにしなかったが、年会費だけでも1億2000万ドル(約137億円)の売上があることになる。
JetSmarterはフロリダ州フォートローダーデールに本拠を置き、ロンドン、チューリッヒ、ドバイに事務所を構えている。今後は、富裕層向けに高級なレストランや宿泊施設の予約サービスを提供する予定だ。最近では、8000件の高級住宅や別荘の予約ができるようになったという。ペトロソフの目標は、顧客のニーズに合った旅行体験を提供するライフスタイルブランドを育てることだという。「どこにいてもカントリークラブにいるようなサービスを提供したい」と彼は話す。
経営トップの逮捕や、CFOの交代がJetSmarterの経営に及ぼす影響について、会計事務所EisnerAmperのパートナーで、ニューヨークにおける企業の会計監査業務を統括しているSteven Kreitに質問をしたところ、次のような答えが返ってきた。「ユニコーン規模の企業にもなれば、事業に影響が出ることは必至だ。個人的には、危険信号が点灯したと考えている」