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2017.02.25

サムスン副会長逮捕で盛り上がる韓国ネット民 「風刺画像」連発

一連の騒動を風刺したイラスト。左からサムスン副会長の李在鎔、元大統領秘書室長の金淇春、前文化体育観光相の趙允旋、崔順実。(Courtesy of @zziziree)

韓国では昨年10月に朴槿恵(パク・クネ)大統領をめぐるスキャンダルが発覚。大統領の長年の友人である崔順実(チェ・スンシル)容疑者との関わりは、まるで韓流ドラマのような展開で注目を集めた。

先日はサムスン副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)が贈賄容疑で逮捕され、マスコミの報道もさらにヒートアップしている。韓国のGDPの13~25%を担うサムスンの事実上のトップの逮捕は、韓国経済に長期的な影響を及ぼしかねないが、ネットユーザーの一部からは、これを揶揄する動きも発生し、一種のお祭り状態になっている。

これまで公然の秘密だったサムスンと大統領府とのつながりが公になったことを、韓国のネットユーザーらは面白おかしく風刺しているのだ。

「サムスンから最初の逮捕者!」とツイートしたのはライブストリーミングチャンネル「アフリカTV」創業者の文龍植(ムン・ヨンシク)。「あとは朴槿恵の弾劾と拘留だけだ」と彼は述べた。

ベテラン歌手の金宗瑞(キム・ジョンソ)の楽曲「美しい拘束」もパロディ化され、「美しい投獄(feat. 朴槿恵)」と改題。「とうとう私の番だ」と歌う李副会長の写真が合成された画像がネットの掲示板で大人気となった。

ツイッター上で@zzizireeと名乗る人物は、サムスンの李副会長が鉄格子の向こうに、先に逮捕された3名と並んで収まった姿をイラスト化した。元大統領秘書室長や前文化体育観光相らは権力に物を言わせ、政府に批判的な文化人や団体のブラックリストを作っていたとされている。

サムスンの贈賄疑惑では、大統領の親友の崔容疑者がドイツに家を購入するための資金700万ドル(約8億円)を李副会長が支援したり、乗馬でオリンピック出場を目指す崔容疑者の娘に馬をプレゼントしたとも報じられている。@zzizireeが描いたイラストでは、李副会長が操るおもちゃの馬が刑務所の中を走り回っている。

成功者の転落に快感を感じる

さらに、崔容疑者と金容疑者が、刑務所に入ってきた李副会長を見て「我々を救いに来てくれた!」と喜ぶと、李副会長が「いや、私も捕まったんだ」と答える漫画もネット上で大人気だ。

この風刺画を描いたアーティストのYoon Seo-inは「みんなは成功者たちが転落するのを見て楽しんでいる」と冗談めかして言う。「人の不幸にカタルシスを感じる人は、李在鎔が逮捕されたのを見て興奮している」とフェイスブックに投稿した。

今回の騒動の余波で、長年続いた政府と大企業との癒着にメスが入る可能性もある。これまでの常識が覆れば、韓国は以前より健全な民主主義国家になれるかもしれない。しかし、それがこの国に大混乱を引き起こす可能性もある。

「私はこの国がダメになったとしても、気にしない」とYoonは言う。「自分の人生だって、どうせ良いものとは言えない。他人の人生がダメになるのを傍観するだけだ」

編集=上田裕資

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