TPGとインテルは今回の合意により、インテル・セキュリティーを新たな事業会社「マカフィー」として独立させる。株式の51%はTPGが取得し、49%はインテルが手元に残す。これは、インテルがマカフィーの価値を22億ドル(債務を含めれば42億ドル、約4,270億円)以上とみていることのあらわれといえるだろう。
2016年上半期、インテル・セキュリティーの売上高は前年同期比11%増の11億ドル(約1,118億円)、営業利益は1億8,200ドルだった。
インテルの狙いは?
インテルのブライアン・クルザニッチCEOは、マカフィーをインテルから分離・独立させることについて、「われわれとTPGは協力し、マカフィーの顧客やパートナー、従業員、インテルの株主たちのために、長期的な価値を生み出していく」と説明している。インテルは今後もマカフィーと協力して、製品の開発を進める方針だ。
ただ、CEOは同社がマカフィーを分離することによって何を得るかについては、言及しなかった。年間500億ドル以上の規模を有するインテルは今後、モノのインターネット(IoT)など、半導体メーカーとしての強みをより生かすことができる新たな分野、成長機会が望める分野に改めて注力することが可能になる。
マカフィーは現在も、企業IT部門で最も幅広く利用されているウイルス対策ソフトの一つだ。だが、成長のペースではファイア・アイ(FireEye)やパロアルトネットワークス(Palo Alto Networks)、プルーフポイント(Proofpoint)などの新しいセキュリティー企業に後れを取っている。恐らく、インテルによる買収後の混乱で、研究開発向けの新たな投資や他社の買収を行うことができなくなっていたのだろう。