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2016.08.16

百貨店メイシーズ100店舗閉鎖へ、「正しい決断」と評価の声

Drew Angerer / gettyimages

米百貨店大手のメイシーズが、売り上げの低迷を受けて店舗の閉鎖を計画しており、投資家たちもそれを承認しているようだ。

メイシーズは8月11日、2017年初めに728ある店舗のうち100店舗を閉鎖する計画を発表した。これは株主価値を高める取り組みの一環で、計画の発表を受けて同日午前、同社の株価は15%上昇した。店舗の閉鎖による売上損失額は年間で約10億ドル(約1,013億円)となる見通しだという。

同社のカレン・フーゲットCFOは11日、投資家向けの業績報告のなかで「閉鎖する店舗の大部分は、条件の悪い場所にある不採算店舗だ」とし、「これらの店舗を閉鎖することで、より業績のいい店舗とデジタル事業に重点を置くことができるようになる」と説明した。

米金融大手シティグループのアナリスト、ポール・レジュエスは顧客向けのメモの中で「店舗閉鎖の決断は正しい」と評価した。「競争上、厳しい立場に追い込まれたことを受けての対応という側面もあるが、我々としては、攻勢を強める正しい決断だと考える」という。

店舗閉鎖の計画は、第2四半期(5~7月期)の決算発表と同時に行われた。メイシーズの同四半期の売上高は、前年同期から3.9%減の59億ドル(約5,978億円)、純利益は15.6%減の1株当たり54セント(約55円)で、いずれもウォール街の予想を上回る結果だった。

既存店売上高は、2015年度に不採算店41店舗を閉鎖したことを受け、前年同期比2.6%減となった。アナリストの事前予想は4.4%の減少だった。

「天候パターンの正常化など、第2四半期は数多くの要素が当社にとって有利にはたらいた。これが特にアパレル事業の売上増加につながった」と、メイシーズのテリー・ラングレンCEOは語った。「また、顧客の来店を促しコンバージョン率を向上させるための販売促進イベントを強化したことで、夏の休暇シーズン中の観光客による消費の減少が昨年よりも小規模に抑えられた」

今年の7月、アマゾンの「プライム・デー」と同時期に、史上初の「7月のブラックフライデー」イベントを実施した件についてラングレンは、「このイベントは大きな成功を収め、実店舗・オンライン共に年半ばの時期としては記録的に売り上げが伸びた」と語った。

メイシーズは、2016年通期のガイダンスを維持。1株当たり利益は3.15~3.40ドル(約319~344円)、既存店売上高は3~4%の下落になるとの見通しを示した。

マイケル・コースやコーチなどの高級ブランドは、ブランドの価値を守るためとして値引き価格での販売を取りやめる決定を下している。そのため、メイシーズの主な集客・販促手段の一つであるディスカウントイベントも、近いうちに打撃を受けることになるかもしれない。

編集=森 美歩

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