世界100名のうち、アジアでは中国本土から19名、香港から3名がランク入りし、中華圏は米国の51名に次ぐ勢力となった。韓国からは3人、台湾2人、シンガポール1人が選ばれた。また、日本人は3人、インド人は2人だった。
今年で2回目となるフォーブスの「世界IT長者番付」で、アリババ創業者のジャック・マーは、資産額258億ドル(約2兆6,160億円)で前回に続いてアジア首位を維持した。マーと17人の仲間が創業したアリババは、Eコマースの巨人に成長し、2014年にはニューヨーク証券取引所で250億ドル(約2兆5,350億円)規模のIPOを果たした。しかしアリババは、偽物を販売しているとの批判にさらされ続け、それが2015年にアリババの株価を押し下げる要因にもなった。
マーの資産の大部分は、アリババ傘下の金融サービス企業、アント・フィナンシャルに絡むものだ。アント・フィナンシャルの評価額は4月の資金調達ラウンドで推定600億ドル(約6兆830億円)。マーの資産は昨年から26億ドル(約2,640億円)増加し、彼は資産額だけでなく、資産の増加額でもテック業界でトップレベルの富豪となった。また、インスタントメッセンジャーQQとSNSアプリWeChatを運営するテンセント(騰訊)のCEO、マー・フアトン(馬化騰)は、資産を41億ドル(約4,160億円)増やした。
日本のトップは資産1.7兆の孫正義
インターネットモールJD.com(京東商城)CEOのリウ・チャンドン(劉強東)も、会社が赤字を続けているにもかかわらず、トップ100に名を連ねた。日本のオンラインモール最大手、楽天CEOの三木谷浩史も楽天の株価上昇が寄与してリストに残留した。彼の純資産は前年の93億ドル(約9,430億円)から今年は73億ドル(約7,400億円)に減ったものの、今年4月からは16億ドル増えた。
今年のトップ100には、アジアから新顔5人が入った。新人のトップは、中国版グルーポンとも言える共同購入サイト、メイトゥアン(美団)を2010年に創業したワン・シン(王興)。メイトゥアンは2015年10月、消費者レビューサイト、ディエンピン(点評)と合併し、時価総額150億ドル(約1兆2,500億円)企業になった。
メイトゥアン・ディエンピンの共同会長に就いたワンの純資産は2015年初めから倍増し、推定35億ドル(約3,550億円)に達した。
ジャック・マーとともに1999年にアリババを創業し、今も同グループの副総裁を務めるサイモン・シエ(謝世煌)は、2011年にアリババからスピンオフしたアント・フィナンシャルで財を成し、ランク入りを果たした。
香港の新顔2人は、アップルにスマホのタッチスクリーンを供給しているBiel Crystal Manufactory のYeung Kin-man(楊建文)とLam Wai Ying夫妻だった。同社は中国本土で10万人を雇用する大企業で、Yeungは事業の51%を、Lamは49%を保有し、資産はそれぞれ31億ドル(約3,140億円)、30億ドル(約3,040億円)だった。
日本のオンラインファッションモールZOZOTOWN創業者の前澤友作も、資産額26億ドル(約2,640億円)で、100名中85位に入った。トップ100に入った日本人は、資産額170億ドル(約1兆7,230億円)で12位のソフトバンク社長の孫正義、さらに前出の楽天・三木谷を含め3人だった。