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2016.07.28

米テスラに朗報? 中国がEV電池「参入規制」を緩和 

Photo by Spencer Platt / gettyimages

中国政府は7月19日、電気自動車(EV)用バッテリーの製造に関する外国企業の参入規制を緩和する方針を明らかにした。この動きはテスラのようなEVメーカーには恩恵をもたらすかもしれない。

現在の中国のEVバッテリー規制は1994年に導入され、外国人の持ち株比率が50%を超える企業の参入を拒んできた。規制緩和はただちに実施されるが、一部の経済特区に限定される。福建省、広東省、上海、天津市が特区に指定されている。海外企業らは今後、現地でのバッテリー製造や電子システムの開発、研究調査が実施可能になる。

突如発表された今回の規制緩和は、地域限定で実施されることからも、実験的試みである可能性が高い。中国政府はその結果を注意深く見守り、さらに規制緩和を進めるかどうかを判断する。

今回の規制緩和の背景には様々な要因が考えられる。国内企業を競争にさらし、競争力を高める狙いや、海外からの投資を呼びこむ期待。米国からの規制撤廃圧力に対する一つの回答、といった見方も出来る。

しかし、この動きはテスラにとっては朗報となりうる。テスラは同社の低価格ラインのModel 3の中国での生産を望んでいた。しかし、以前の規制の下では、バッテリーを中国企業から調達することが必須条件になっていた。

規制緩和によりテスラは中国進出にあたり、自社の技術を中国のパートナー企業に明け渡す必要が無くなる。テスラは米国で計画中の大規模電池工場「ギガファクトリー」の中国版を建設することも可能だろう。

しかし、今回の規制緩和はバッテリーに関してのものであり、自動車の製造に関しての規制は解除されていない。テスラや他のEVメーカーはこのタイミングで中国進出を進めるか、もう少し様子を見るかの選択を迫られている。問題は、彼らがいつまで待てるかという点だ。

現状では自動車製造に関する規制が解除されるかどうかは全く不透明だ。その一方で、北京汽車(Beijing Automobile)や比亜迪汽車(BYD)、楽視(LeEco)といった中国企業らは競合のテスラの動きを見据えつつ、着々とEV車の生産を進めている。

中国自動車工業協会(CAAM)は昨年12月、中国のEV販売台数が22万台を突破し、世界1位の米国を追い抜く見込みだと発表している。

編集=上田裕資

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