再利用ロケットが切り拓く宇宙開発の未来

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ジェフ・ベゾスが創立した宇宙企業Blue Originは先月、2015年11月に垂直着陸に成功したNew Shepardロケットを再び打ち上げ、宇宙を準軌道飛行した後、無事に地上に着陸させるという偉業を成し遂げた。イーロン・マスク率いるスペースXもFalcon 9ロケットを打ち上げ、搭載していた衛星11機を軌道上で分離した後に地上へ垂直着陸させるという、さらに困難なミッションに成功している。

再利用ロケットの開発競争は熱を帯びてきている。1980年代までは、ロケットを打ち上げても宇宙飛行士が乗った帰還カプセルを除けば、地上に戻ってくるパーツはほとんどなかった。その後、再利用が可能なスペースシャトルが開発されたが、機体に貼られた耐熱タイルを1枚1枚調べるなど補修点検に多大な労力を要したため、NASA(アメリカ航空宇宙局)には膨大なコスト負担を抱えることになった。

現代の宇宙競争の主眼は、機体の再利用によって打ち上げ費用を大幅に削減することだ。スペースXは、現状のコスト6,100万ドルを500万~700万ドルまで低減することが可能だと主張している(スペースXの費用で突出して大きいのが1段目ロケットで、4,000~5,000万ドルと言われている)。他にも多くの企業が再利用ロケットの開発を行っており、リチャード・ブランソンのVirgin Galacticは、宇宙旅客機を開発中だ。

また、Sierra Nevada Corporationは先日NASAと国際宇宙ステーションの補給ミッションで契約を締結した。同社が開発しているDream Chaserはデザインこそスペースシャトルに似ているが、打ち上げ費用がはるかに安く済み、最低でも15回は再利用が可能だという。

しかし、再利用ロケットが確実にコストを下げるとは限らない。例えば、点検やメンテナンス、燃料補給などのためにロケットを移動するとコストがかさむ。また、ロケットの帰還用に燃料を余計に積む必要があるが、再利用を考えなければ変わりに貨物を運んで収益を生むことができる。

それでも、打ち上げコストを半額にすることができれば、より多くのスタートアップがロケット開発に参入でき、大手企業は削減した資金を研究開発に回すことが可能になるなど、宇宙産業全体にとって大きなメリットが期待できるだろう。

編集=上田裕資

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