Redbubbleではアーティストが自分で価格を設定でき、定められた一定の料金以外のマージンを全て受け取ることができる。彼らは単なるデザイン供給者ではなく、パートナーなのだ。「クラウドソーシングという言葉は、わが社では禁句です。」とCMOのフェイス・セドリンは言う。
在庫を持たないため、世界規模でマスカスタマイゼーションが可能だ。1枚のステッカーを販売・配送しても利益が出る。そのビジネスモデルと的確な市場マーケティングは目覚ましい成果を生んでいる。2014年度の収益は9000万ドルで、顧客数は160万人。ここ数年は前年比約50%の成長を記録しており、本年度は1億3500万ドル以上の売上を見込んでいる。衣服、ケース、ステッカー、インテリア用品をはじめ現在44ある製品の種類はさらに拡大中だ。
1500万種類ものデザインは、45万人の登録アーティストの手によるもの。彼らへの報酬は総額3300万ドルで、1年で5万ドルを稼いだ人もいるという。CEOで創業者のマーティン・ホスキングは、1999年にNasdaqに上場したLookSmartの創業メンバーの1人としてITバブルを経験した。その体験から、次のビジネスはやり方を変えなければならないと確信したという。そこでRedbubbleで徹底したのは顧客を十分に理解し、長期的な戦略と有益なビジネスモデルを持つことだった。
アーティストのデザインをオンラインで販売するという点では、アート・クラフト市場の大物、Etsyに似ているかもしれない。しかしRedbubbleのビジネスモデルは、よりサステナブルだとホスキング氏は主張する。第一の理由はフルフィルメントを管理しているという点だ。これにより顧客は商品の品質やサービス、配送に至るまで一貫した満足度を得ることができる。Etsyの場合は販売者によってサービスにムラが生まれる。第二の理由は、商品の質をいつまでも信頼できるという点だ。Etsyはもはや職人たちの市場ではなく、中国で大量生産された商品が集まる場所となったという激しい非難を浴びている。
かつて、顧客が自分で商品をデザインするというビジネスモデルでライバル企業Zazzleと競り合っていたRedbubble。しかしこのDIY方式が実はあまり利用されないことに気づいて廃止し、現在は他を引き離す存在となっている。