「されています」の意味とは?
「されています」は、動詞の「する」に受け身表現の要素が加わった敬語的な言い回しです。対象となる行為や状態について、主体ではなく客観的な立場から述べるときに使われます。「行われています」「実施されています」のように、何らかの行為が進行中、あるいはすでに完了していることを示しつつ、相手に配慮する形をとるため、ビジネス文書や会話でも頻繁に登場する表現です。
ただの受け身ではなく、やや丁寧な響きを伴うのが特徴で、特に相手先やクライアントの取り組みなどを客観的に示す場面でよく使われます。たとえば「このサービスはA社によって提供されています」といえば、「提供している」という能動的な表現ではなく、「提供されている」という受け身の形をとることで、第三者の行為を丁寧に述べる意図が伝わります。
基本的な文法構造
「されています」は、文法的には「する+(ら)れる+います」の組み合わせです。
- 「する」:行為を示す動詞
- 「(ら)れる」:受け身・尊敬を表す助動詞
- 「います」:丁寧な断定(「います」形態でやや改まったニュアンスになる)
これにより、あえて行為の主体を明確にしない、もしくは丁寧に述べるという使い方ができるのが大きな特徴です。「行われています」「導入されています」といった形で展開できるため、ビジネス文書の説明文や報告書などで見かける機会が多いでしょう。
ビジネスシーンでの使い方
「されています」は、ビジネスメールや会議資料、プレゼンテーションの場など、多岐にわたって使える表現です。具体的には「誰が何をしているのか」を強調するよりも、「ある行為や状態が存在する」という事実に焦点を当てたいときに用いられます。過度に主体を明記せず、情報を客観的に提示することで、読み手・聞き手の抵抗を少なくする効果も期待できます。
報告書や社内文書での使用
- 「プロジェクトの進捗管理は、週ごとに更新されています」
- 「顧客満足度の調査はすでに実施されています」
- 「新しいシステムの導入が段階的に進められています」
これらの文章は「~されている」でも通じますが、「~されています」と書くことでより丁寧な印象を与えられます。報告書や議事録などの文書では、このようにやや改まった形にすることで、ビジネスライクな文章作法を感じさせるのです。
メールやチャットでの使用
ビジネスメールでは、相手の会社や上司などに向けて、自分以外の第三者の行動や背景情報を述べる際にも便利です。たとえば「この件はすでに関連部署に共有されています」とすると、共有の事実を客観的に伝えつつ、相手を敬う丁寧なニュアンスを保てます。
チャットツール上でも、重要な情報を伝える場合、「○○の作業は現在進行中で、完了までもう少し時間がかかっています」のような表現を「○○の作業は進められています」に切り替えることで、受け身形かつ丁寧なトーンを保ちやすくなります。
「されています」の類義語・言い換え表現
「されています」は便利なフレーズですが、文章中に何度も繰り返し出てくると単調な印象を与える可能性があります。そこで、意味は近いものの表現を少し変えることで、多彩なニュアンスを加える方法を見てみましょう。
「行われています」
ある行為や活動が進んでいる事実を客観的に述べるときに使う表現です。「されています」よりやや直接的に「実施している」ニュアンスが強調されます。会議やイベントなどが具体的に動いている状況を伝える際に適しています。
「実施されています」
「行われています」よりフォーマルかつ業務的な響きがあり、公式な企画や制度が始まったことを伝える際に活用されることが多いです。公共機関や企業の広報資料にもよく用いられるため、社会的に広く浸透している表現と言えます。
「導入されています」
新しいシステムやサービス、製品などが組織や現場に取り入れられたことを伝える言い回しです。「されています」よりも特定の対象を指し示す力が強く、読者・聞き手にとって「あ、これが新しく導入されたのか」と明確にイメージしやすい特徴があります。
「用いられています」
特定の技術や資料、方法論などが活用されている事実を伝えるときに使われます。「その技術は○○でも用いられています」のように、幅広い場面で取り入れられている様子を強調できます。抽象的な活用状況を伝える際にも便利な表現です。
例文:ビジネスでの「されています」使用例
ここでは、ビジネスのシチュエーションごとに「されています」を取り入れた例文を紹介します。実際のメール文面や口頭での説明に流用できる形を意識してみてください。
プロジェクト報告
- 「現在、データ分析の段階が進められており、結果のまとめが作成されています。」
- 「次のステップでは新規ツールの検証が予定されていますが、完了時期は後日確定いたします。」
これらの例では、プロジェクトの状況がどう進んでいるかを客観的に伝えつつ、丁寧な言い回しを保っています。
社内通達・お知らせ
- 「社内ポータルサイトには新しいマニュアルが掲載されていますので、参照のうえご利用ください。」
- 「今期の目標設定に関する書類が共有フォルダに保管されています。各自ご確認をお願いします。」
資料がある場所や、更新された情報を知らせる際に「されています」を使うと、相手に「きちんと用意されている」感を示せます。
注意したいポイントと使い分け
「されています」は確かに便利ですが、使いどころを誤ると文意が曖昧になったり、相手によっては説明不足を感じたりします。そこで、以下のポイントに気をつけながら、最適な表現を選択するようにしましょう。
主体を明確にしすぎないデメリット
受け身表現の常として、行為の主体がぼやける恐れがあります。「○○社が実施しています」という直接的な情報が必要な場面でも「実施されています」と書いてしまうと、「誰が?」という疑問を相手に抱かせることも。
議事録や重要な報告では主体を明示するか、補足で注釈を加えるなどして誤解の余地を減らす工夫が大切です。
尊敬語・謙譲語との混同
「されております」などに変化させるケースがありますが、過度に敬語を重ねると二重敬語とまではいかないまでも、やや回りくどい印象を与えかねません。相手との距離感や文書のフォーマル度合いを見極めつつ、敬語表現を調整しましょう。
まとめ
「されています」は、相手に対して「何かが行われている(あるいは既に存在している)」という事実を、丁寧かつ受け身の形で伝えるための便利な表現です。ビジネスシーンでは、報告書やメール、プレゼン資料などさまざまな場面で活用できますが、その分繰り返し多用すると単調になりがちという欠点もあります。
類義語として「行われています」「実施されています」「導入されています」などを使い分けることで、文中のバリエーションを豊かにできるでしょう。また、行為の主体をはっきりさせたほうが良い場合は、「○○社により提供されています」のように補足情報を加えるのも有効です。
誰が何をしているかよりも、「この事実が存在している」ことを主眼に置きたいときにこそ、「されています」という表現の真価が発揮されます。うまく使いこなし、わかりやすく丁寧なコミュニケーションを実現してみてはいかがでしょうか。