2025.02.06 11:00

韓国エアプサン、機内の荷物棚での携帯充電器保管を禁止へ 火災事故受け

大阪・関西国際空港に停留する韓国の格安航空会社(LCC)エアプサンの旅客機。2024年8月28日撮影(Getty Images)

大阪・関西国際空港に停留する韓国の格安航空会社(LCC)エアプサンの旅客機。2024年8月28日撮影(Getty Images)

韓国の格安航空会社(LCC)エアプサンは先週発生した旅客機の火災事故を受け、機内の頭上の荷物棚に携帯端末の充電器を入れることを禁止する。英ロイター通信が5日、報じた。

韓国南東部釜山の金海国際空港で1月28日、離陸準備中だったエアプサンの旅客機エアバスA321型が炎上する事故があった。乗客乗員176人全員が緊急脱出したが、7人が負傷した。

事故を巡っては、地元メディアは、エアプサンの旅客機の機内頭上に設けられた荷物棚に置かれていた携帯用充電器が火元となったと報じている。韓国の聯合ニュースによると、乗客の一部は、機内の左後方にある頭上の荷物棚からパチパチという音が聞こえ、煙や炎が見えたと証言した。

一方、韓国当局は現時点では正確な出火原因を発表していない。同国英字紙のコリアタイムズによると、韓国政府は現在、リチウムイオン電池の航空機内での取り扱いに関する手続きを見直しているという。

エアプサンの今回の決定により、今後同社を利用する乗客は、過熱や火災をすばやく検知できるよう、携帯用充電器を頭上の荷物棚ではなく、座席に置かなければならなくなる。

米国では、連邦航空局(FAA)が2006年に追跡を開始して以降、機内でのリチウムイオン電池の発火事故は計593件報告されている。うち、2024年に報告された件数は81件に上り、週平均では1.6件となった。米国の航空各社が近年報告したリチウムイオン電池関連の事故の多くは、携帯電話や携帯用充電器、電子たばこなどによるものだった。

FAAはフォーブスの取材に「バッテリー輸送の安全はFAAにとって最優先事項だ」と答え、乗客乗務員の双方に情報を提供するとともに、航空会社には事故報告を義務付けているとした。同局の過去の調査では、リチウムイオン電池の普及によって航空機の安全な運航が脅かされることがあると指摘された。その上で同局は、この種の電池は、温度と圧力が急激に上昇し制御できない状態になる「熱暴走」と呼ばれるプロセスを起こし、可燃性ガスが放出される危険性があるとしている。

FAAに報告された直近のリチウムイオン電池関連の事故は、1月15日の米ワシントン・ダレス国際空港発サンフランシスコ国際空港行きの便で、乗客の携帯電話が熱暴走したものだ。この事故では乗務員が端末を熱封じ込め袋に入れて対処したため、航空機の運航は続行された。

航空安全を専門とするコンサルティング企業、米セーフティー・オペレーティング・システムズ(SOS)のジョン・コックス最高経営責任者(CEO)はフォーブスの取材に対し、「当社は、乗務員が(リチウムイオン電池関連の事故に)かなりうまく対処していることを示すデータを持っている」と説明。リチウムイオン電池は燃焼すると「大量の煙を出すため、人々の注意を引きやすい。また、煙は刺激臭を発することから、臭いで異変に気づくこともある」と述べた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事