酒づくりにおいて品質を左右する重要な要因として、ワインはテロワール、日本酒はつくり、などといわれる。ではウイスキーは? 水や気候など諸説あろうが、やはり最重要なのは熟成という最後のプロセスではなかろうか。スコットランド産ウイスキーの場合には、最低3年間熟成させることが法律で義務付けられているが、8年、12年、15年……と熟成期間が長くなればその分、味わいが豊かに、より複雑に変化していく。比例して、価格も上がるのはご存じの通りだ。
その重要な熟成期間において、ウイスキーに大きな影響を及ぼすのがカスク(樽)だ。蒸溜されたウイスキーが木の樽で眠り続ける間、木材がフィルターの役目を果たして不純物を吸収し、同時に木の糖分やタンニンがウイスキーの中に浸みだす……この相互作用によって、独特の色、まろやかさ、深い風味が得られるのだという。
多くはオーク材が用いられるこの樽にもいろいろあって、シェリーを貯蔵していたシェリー樽、バーボンを熟成させたバーボン樽と、その素材と使われていた用途によって、ウイスキーに与える効果・影響も大きく変わってくる。
「『ザ・マッカラン ダブルカスク12年』はヨーロピアンオーク樽とアメリカンオーク樽で熟成させたウイスキーをヴァッティングしているんです」と教えてくれたのは、「ザ・リッツ・カールトン東京」(東京・六本木)の「ザ・バー」でヘッドバーテンダーを務める和田健太郎。「ザ・マッカラン」の樽にはカスタムメイドのシェリーが詰められ、12〜18カ月の間じっくりと寝かせてシェリーの風味を樽に吸い込ませてから、ようやくウイスキーを詰めるのだそうだ。
「同じシェリー樽でも、ヨーロピアンオークはドライフルーツやチョコレートのような濃厚さ、アメリカンオークは柑橘を思わせる軽快さを与えてくれ、それぞれの良さを絶妙のバランスで持ち合わせているのがこのウイスキー。その印象はひと言で語るならブライト(明るい)。スムーズな飲み口だから、ロックや水割り、ソーダアップしたカクテルなど、飲み方を選ばず万能ですね」
かつて「ハロッズ」のウイスキー読本で「シングルモルトのロールスロイス」と評された「ザ・マッカラン」は高級ウイスキーの代名詞でもあるが、このふたつのオークの特長を完璧なバランスで引き出した一本はどんな高級車にたとえられるだろうか。やはりハイブリッド車だろうか?
ザ・マッカラン ダブルカスク12年

容 量|700ml
度 数|40%
価 格|9040円(希望小売価格)
問い合わせ|サントリーお客様センター0120-139-310(土・日・祝を除く9:30〜17:00)
今宵の一杯はここで
ザ・バー
東京の摩天楼をつまみに極上のカクテルを


ザ・バー
住所/東京都港区赤坂9-7-1
東京ミッドタウン45F
予約・問い合わせ/03-6434-8711(レストラン予約)
営業時間/月〜木14:00〜23:30、金14:00〜24:00、土12:00〜24:00、日12:00〜23:30休/なし