「よろしくお伝えください」の意味とは?
「よろしくお伝えください」は、第三者を介して相手に挨拶や伝言を伝える際、「どうか私の意向や挨拶を相手に伝えていただきたい」という意味を丁寧に表現した言葉です。 多くの場合、「お世話になっている方へ感謝や気遣いを伝えてほしい」とか、「関係者へこちらの意図を預けたい」といった意図で使われます。 単に「伝えてください」と言うよりも、相手への敬意や親しみをこめて、「よろしく」というワンクッションを添えることで、柔らかい表現とするのが特徴です。
例えば、メールや電話で「ご家族によろしくお伝えください」と言えば、「ご家族にくれぐれもよろしく伝えておいてください」というニュアンスが伝わり、かしこまった敬意に加えて相手との心の距離を縮める効果もあります。 ビジネスの場では、同僚や上司、あるいは取引先の担当者以外の人へこちらの感謝や挨拶を伝えたいときに便利な表現です。
ビジネスシーンでの具体的な使い方
上司・先輩からの紹介や仲介がある場合
業務上で、上司や先輩が取引先や別の部署の方を紹介してくれたり、連絡を橋渡ししてくれたりするとき、別れ際の挨拶やメールの結び文句として「△△様によろしくお伝えください」と伝えるケースがあります。 この場合、「お世話になりました」という感謝や「今後も協力をお願いしたい」という姿勢がこめられています。 「自分の気持ちを形にして、相手にも伝えてほしい」というニュアンスが相手に伝わりやすく、丁寧な表現と言えます。
取引先の担当者以外の人へメッセージを託す場合
取引先のAさんとコミュニケーションをしていて、Aさんを通じてAさんの上司や同僚に何か挨拶やお礼を伝えたいとき、「上司の◯◯様にもよろしくお伝えください」などと述べるとスムーズです。 特に、プロジェクトや契約などでお世話になった別部署の方、社内で顔を合わせたことのない関係者に感謝を届けたい場合に、こうした表現で「直接は会えないが感謝の意を伝えたい」というメッセージを託せます。
「よろしくお伝えください」を使う際の注意点
相手との距離感や場面を考慮する
「よろしくお伝えください」はビジネスシーンで広く使えますが、それほど硬いフレーズではありません。 フォーマル寄りの場面では、もう少し改まった表現を選ぶことも考えられます。「くれぐれもよろしくお伝えくださいませ」などさらに丁寧にする場合もありますが、かえって堅苦しい印象を与えるかもしれません。 逆に、よりカジュアルな場面なら「◯◯さんにもよろしく〜」と少し砕けた言い回しにすることもあり得るので、相手やシチュエーションを見極めることが大切です。
伝えたいメッセージを明確にする
単に「よろしくお伝えください」とだけ言うと、相手は「具体的に何を伝えればいいの?」と戸惑うかもしれません。 「お礼を申し上げているとお伝えいただけますか」「今後もお力添えをお願いしたいとお伝えいただけますか」など、もう少し詳しく伝えたい内容を付け加えると、一層確実にメッセージが相手に届くでしょう。 ただし、長すぎる要望を第三者に託すと負担をかける恐れがあるので、簡潔さも意識する必要があります。
類義語・言い換え表現
「よろしくお伝え願います」
「願います」を用いることで、より丁寧なお願いの形となります。 書面やややかしこまった場面で「よろしくお伝え願います」と書くと、少し改まった印象を演出できます。 ただし、実際の会話で使うにはやや文語的なので、メールや手紙などのフォーマルな文面に向いています。
「お伝えくださると幸いです」
「よろしくお伝えください」を少し別の形に置き換えた表現で、「伝えてもらえるとありがたい」という、よりやわらかな依頼ニュアンスを含む言い回しです。 口調を敬語に整えつつ、「◯◯の件をお伝えくださると幸いです」とすると、やや上品な響きになります。 フォーマルメールなどでも使用できます。
「ご挨拶申し上げますとお伝えいただけますか」
相手に対して具体的に「ご挨拶を申し上げる」という動作を強調したい場合に使います。 「△△様にくれぐれもご挨拶申し上げますとお伝えいただけますか」とすることで、自分自身の丁寧な意図をさらに際立たせる形になります。 大切な取引先や上司に代わりに伝言を頼む場合など、かしこまった場面に向いています。
ビジネスでの例文
例文1:取引先の担当者から上司へのメッセージを託す
◯◯株式会社
◯◯様
いつもお世話になっております。
今回のご提案内容については大変参考になりました。
つきましては、貴社の上司の◯◯様にも、今後ともよろしくお願い申し上げる旨をお伝えいただければ幸いです。
弊社としても、引き続き協力体制を強化してまいります。
何卒よろしくお願いいたします。
株式会社△△ 営業部 ◯◯
この例文では「今後ともよろしくお願い申し上げる旨をお伝えいただければ幸いです」という形で、取引先の別の担当者に対してメッセージを託しているパターンです。 より丁寧にしたい場合は、「よろしくお伝えください」というフレーズに変えても自然です。
例文2:上司に退職者へのメッセージを託す
◯◯部長
お疲れさまです。
先ほど退職のご挨拶に見えた△△さんに、私からも本来ならお礼を直接お伝えしたかったのですが、席を外しており失礼いたしました。
大変お世話になったので、どうか『本当にありがとうございました』とよろしくお伝えいただけますとありがたいです。
何卒よろしくお願いいたします。
総務部 ◯◯
ここでは「どうか…よろしくお伝えいただけますとありがたいです」という形で、上司を通して退職者に感謝の言葉を伝えてほしいとお願いしています。 直接会えなかった場合でも、一言を伝言してもらえるだけで自分の感謝が相手に届きやすいです。
使い分けのポイント
「よろしくお伝えください」はほど良いかしこまり度
口頭でもメールでも、多くのビジネス場面で無難に使えるのが「よろしくお伝えください」です。 「ご挨拶申し上げます」「よろしくお伝え願います」と比べると若干砕けていますが、かといって失礼ではありません。 相手の上司や同僚へ言付けを頼むとき、程よい丁寧さを保ちつつやり取りできる表現でしょう。
内容や相手に応じて表現を変える
もう少しカジュアルでいい場合は「◯◯さんにもよろしくね」と言えますし、もっと正式な状況なら「くれぐれもご挨拶申し上げますとお伝えくださいませ」と増幅可能です。 相手が社内の先輩なのか、取引先の役員なのか、ビジネスパートナーなのか、それぞれの距離感に合わせて表現を微調整するのが好印象を得るコツです。
まとめ
「よろしくお伝えください」は、自分の挨拶や想いを第三者経由で相手に伝えてもらいたいときに使う、非常に便利なビジネス表現です。 「伝えてください」だけではやや簡潔すぎるところを、「よろしく」とつけることで丁寧さと敬意を示せるのが特徴と言えます。
ただし、具体的に何を伝えたいのかが曖昧だと、相手が「何を言えばいいのだろう?」と困惑する可能性がありますので、「お礼を申し上げている」「ご挨拶をしたい」など目的を明確にしておくことが大切です。 また、状況によっては「お伝え願います」「ご挨拶申し上げますとお伝えいただけますか」など、少し別の敬語表現にするのも選択肢の一つでしょう。
いずれにせよ、相手との温度感や正式度合いを考慮しながら使えば、円滑なコミュニケーションと良好な人間関係の形成に役立つフレーズとなります。 職場や取引先とのやり取りで、自分の気持ちや感謝を間接的に届けたいときは、適切な丁寧表現を上手く活用してみてください。