「参考にさせていただきます」の意味とは?
「参考にさせていただきます」は、相手から提供された情報やアドバイス、アイデアなどを自分(または自社)の行動や判断材料として取り入れることを、丁寧に表現した言葉です。 「参考にする」という基本動詞に「させていただく」という謙譲表現を加えており、「相手の助言や資料を大切に扱い、今後の方針や施策に活かしたいと思っています」というニュアンスを示します。
ビジネスの場では、顧客や取引先、上司からの意見を受け取って、そのうえで「それを検討材料とします」「方針に反映します」という意思を伝える際に便利です。 単に「使います」と言うよりも、「参考にさせていただきます」のほうが相手に対する敬意をしっかり込められるため、丁寧な印象を与える表現として重宝されます。
ビジネスシーンでの具体的な使い方
メールや文書での使い方
相手から資料や提案を受け取った際に、返信メールで「この情報を参考にさせていただきます」と伝える場面が多いです。 例としては「新製品のカタログをお送りいただき、ありがとうございます。今後の企画立案に参考にさせていただきます」というように使うと、相手は「自分の情報が活用されるのだな」と安心し、良い関係を築きやすくなります。 また、レポートや社内連絡文書の中で「他部門の報告を拝見し、今後の施策に参考にさせていただきます」と書く形もよく見られます。
会議やミーティングでの使い方
上司や取引先が新しい意見や改善案を提示してくれたとき、「貴重なご意見をありがとうございます。今後の方針決定にあたって参考にさせていただきます」と一言添えると、意見が受け止められた事実を相手が感じ取れます。 特に、チームメンバーとのディスカッションなどで、いろんなアイデアが出たあと、そのアイデアを採用する可能性がある旨を表すときに便利です。
「参考にさせていただきます」を使う際の注意点
実際に検討する意欲があるかを示す
「参考にさせていただきます」と言うだけで終わってしまい、実際には全く検討していないケースがあると相手は「社交辞令だったのか」と不信感を持ちかねません。 特にビジネスでは、後日どう生かしたかを報告したり、何らかのフィードバックを与えたりすると、相手とのコミュニケーションがより良好になります。 ただ言葉を発するだけでなく、取り入れた結果を軽く説明するなど、誠実なアクションを心がけるといいでしょう。
過度な多用に注意する
「参考にさせていただきます」は丁寧な表現ですが、あまりに頻繁に使いすぎると「本当に使う気があるの?」と、やはり信用を損ねる可能性があります。 状況に応じて「検討します」「社内で共有します」など、もう少し具体的な言葉を選び、一辺倒にならないよう意識すると、真摯な態度が伝わりやすくなります。
類義語・言い換え表現
「活用させていただきます」
「活用」は「より積極的に使う」というニュアンスが加わるため、相手の情報を具体的に取り入れる意欲を示せます。 たとえば「頂いたご提案を、今後の運営に活用させていただきます」と言うと、検討だけでなく「実際に取り込む」という積極性が伝わります。 反面、「活用」という言葉に重みがあり、「本当に導入するのか?」と思われる可能性もあるので、使う場面を選ぶことが重要です。
「参考にいたします」
「参考にさせていただきます」の簡易版であり、やや敬語のレベルは下がりますが、その分スッキリとした印象を与えます。 相手が親しい上司や先輩、または社内の同僚であれば「参考にいたします」でも十分丁寧で、少しカジュアルなニュアンスになります。 特に外部の方や取引先には「させていただきます」のほうが無難です。
「検討させていただきます」
「検討」は「詳細を検討し、可能性を探る」という意味合いが強く、「採用するかどうかはまだ決めていない」ニュアンスが含まれます。 「参考にさせていただきます」はすでに「取り入れる姿勢」を示す場合が多いですが、「検討させていただきます」は「まだ決めてはいないが、前向きに評価します」という印象に近いです。
ビジネスでの例文
例文1:クライアントからのアドバイスに対する返信
このたびは貴重なご提案をいただき、誠にありがとうございます。
いただいたアイデアを、今後のプロダクト開発において参考にさせていただきます。
また、進捗がありましたら改めてご報告いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
ここで「今後のプロダクト開発において参考にさせていただきます」という一文により、相手の提案を真面目に取り入れる姿勢が示されています。 あわせて「進捗がありましたらご報告」という言葉を添えることで、ただの社交辞令ではなく、実際に取り組む意欲が感じられます。
例文2:社内メールでの情報共有
お疲れさまです。 皆さまからいただいたアンケート結果を拝見しましたところ、以下の課題が浮き彫りになりました。
今後の改善策を検討するうえで、この情報を参考にさせていただきます。
改善案がまとまり次第、改めてお知らせいたしますので、ご意見をいただければ幸いです。
この例では、「アンケート結果を参考にする」ことで、チーム全員に「あなた方の意見が重視される」という印象を持たせ、前向きな協力を促しています。
使い分けのポイント
具体的な行動を示すことで誠実さを伝える
「参考にさせていただきます」と述べたあと、「参考にした結果どうなるのか?」が不明確だと、相手は形だけと思うかもしれません。 メールや会話では、「◯◯の改善案を作成します」「◯月までにご報告します」のように、次の行動や見通しも付け加えると、誠実な姿勢がより伝わります。
相手との立場や関係性を考慮して敬語を調整
社内の気心知れた同僚なら「参考にいたします」や「参考にします」のシンプル表現でも十分な場合があります。 一方、目上の上司や顧客、取引先などには「参考にさせていただきます」としっかり敬意を表すことで、失礼のない印象に仕上がります。 相手との距離感やシチュエーションに応じて使い分けましょう。
まとめ
「参考にさせていただきます」は、相手の提案や情報を「考慮のうえ、自分たちの判断材料として活かす」意思を丁寧に伝える表現です。 ビジネスシーンでは、相手の協力や意見に対して感謝や敬意を示しつつ、「実際に取り入れる予定がある」ことを柔らかくアピールするうえで非常に役立ちます。
とはいえ、表面的に「参考にさせていただきます」と繰り返すだけでは、相手から「本当に取り入れているの?」と疑われてしまうリスクもあります。 誠意を示すためには、具体的にどのような形で参考にするのか、その結果をどう活かすのかを伝える工夫が効果的です。
同様のフレーズとして「検討させていただきます」「活用させていただきます」などがありますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なるので、目的や状況に合わせて上手に使い分けるとよいでしょう。 「参考にさせていただきます」を活用し、ビジネスコミュニケーションをよりスムーズかつ好印象なものにしてみてください。