「アルムナイネットワーク」をご存知だろうか。アルムナイ(alumni)とは卒業生のこと。退職した元従業員をつなぎとめておくために企業が構築するネットワークだ。それに何の意味があるのか。実際そう考える企業も少なくない。それは単に感傷的な同窓会ではなく、企業にとって数々のメリットをもたらすネットワークだ。
日本で唯一の総務専門誌『月刊総務』を発行する月刊総務は、読者を対象にアルムナイに関するアンケート調査を行った(有効回答数116)。それによると、アルムナイネットワークを知っている人は、「よく理解している」と「なんとなく理解している」を合わせてほぼ5割だった。月刊総務の読者ということで、こうしたトレンドに対する意識が高いのかもしれない。
ところが、アルムナイネットワークを構築している企業は約1割に留まる。アルムナイネットワークを持っている企業では、これをOB会の開催、社内報を退職者に送る、メールなどで定期的に情報提供などに利用しているとのことだが、総務担当者はもっと積極的な活用を考えているようだ。アルムナイネットワークのメリットを尋ねると、7割を超えるダントツトップが「再雇用の機会創出」だった。約5割で2位だったのが「リファラル採用」、つまり社員や元社員の紹介で人材を採用すること。3位は「他社での経験のフィードバック」となった(複数回答)。
アルムナイ採用(再雇用)制度があり実際に採用実績がある企業は3割強。アルムナイを雇用する理由でもっとも多かったのが、即戦力として活用できるからだった。すでに社内文化に馴染んでいる、他社での経験や知見を会社に還元できる、会社に対する愛着がある、などの理由もあげられた。
退職者と継続的な関係を保つ必要はない、退職者の活用に関心がないといった理由でアルムナイネットワークを構築しない企業もある。それで事足りているならいいが、今後、アルムナイネットワークが増えるに従い、新たなメリットが発見される可能性もある。単純に考えても、せっかく同じ職場で仲間になった人と、退職で縁が切れてしまうのは残念だしもったいないように感じる。円満退社した人たちも、企業の資産と考えていいのではないか。
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