北米

2024.12.19 13:00

マスクの米政府への起用は「利益相反」、民主党大物議員が警告

マスクとトランプ(Brandon Bell/Getty Images)

マスクとトランプ(Brandon Bell/Getty Images)

民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、トランプ次期米大統領がイーロン・マスクを政府関連の業務に起用することが、「巨大な利益相反」を招きかねないと警告した。

ウォーレン議員は、12月17日に公表したトランプに宛てた書簡で、マスクを政府効率化省(DOGE)の共同責任者に起用するにあたり、マスクが倫理規定に類するものに合意しているのかを尋ねた。

トランプの政権移行チームは、利益相反を引き起こす取り組みへの関与を禁止する倫理規定をメンバーに課している。ウォーレン議員は、マスクがそのガイドラインに従っているのか、それとも自身の企業に影響を与える議論から身を引いているのかを確認するよう求めた。彼女はまた、特にマスクの企業であるテスラやスペースXが、政府との契約から恩恵を受けていることを指摘した。

マスクは連邦職員ではないものの、彼に「連邦職員と同様の倫理基準の遵守が求められることは明白だ」とウォーレン議員は述べて、彼に何の規制も課さないことは、「かつてない規模の腐敗」につながると主張した。

トランプの広報担当のキャロライン・リーヴィットは、ワシントン・ポストに宛てた声明で、ウォーレン議員の書簡を非難し、「民主党の議員は、政治ゲームに興じて無意味な書簡を送ることはできるが、次期大統領の政権移行チームは、可能な限り最高の倫理的および法的基準を維持し続ける」と語った。ただし、マスクに倫理規定が適用されるかどうかについては言及しなかった。

トランプ自身も、先週公開されたタイム誌とのインタビューで、同様な懸念を否定していた。マスクの起用が利益相反につながるかを尋ねられたトランプは、「私はそうは思わない。イーロンは自分の会社よりも国家を優先していると思う」と述べていた。

米国の政府機関の職員は、厳格な倫理規定の対象となるが、DOGEのような外部のアドバイザリー委員会は一般的に、同じレベルの監視を受けない。専門家は、DOGEがこれらの委員会よりもはるかに広範な権限を持つことを指摘しているが、マスクや共同議長のヴィヴェック・ラマスワミに適用される基準が異なるものになるかどうかは分からない。

ウォーレン議員がマスクの起用に関してこのような書簡を送った背景には、同議員がマスクやハイテク大手を頻繁に批判してきたことが挙げられる。彼女は8月にテスラの取締役会に書簡を送り、マスクが他の企業との間で抱える利益相反の問題に対処していないと警告し、証券取引委員会(SEC)に介入を求める可能性を示唆していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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