経済・社会

2024.12.07 09:15

ロシア派兵北朝鮮兵士の素顔 証言からたどる3つの顔

Bumble Dee / Shutterstock.com

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米国防総省のパット・ライダー報道官は2日の記者会見で、ロシアに派遣された約1万1千人の北朝鮮兵士について、最前線での戦闘に参加している事実を確認できないとする一方、ある時点から戦闘作戦に参加する可能性が非常に高いとの見方を示した。韓国政府は、北朝鮮兵士が戦闘に参加すれば多数の死傷者を出すと予測。金龍顕国防相(当時)は11月28日の国会国防委員会での答弁で、「北朝鮮兵はロシア軍の弾除け」との見方を示した。

SNSなどで公開された映像からは、北朝鮮兵士は10代後半あるいは20代前半のようにも見える。また、韓国の情報機関・国家情報院は、派遣された北朝鮮兵士は、北朝鮮特殊作戦軍を構成する「暴風軍団」と呼ばれる第11軍団だとした。韓国国防白書によれば北朝鮮軍の兵力は128万人だが、40~60万人程度は農作業や建設支援などに駆り出される「労働兵」とされる。ロシアに派遣された北朝鮮兵士は、労働兵ではなく、軍事訓練も受けている戦闘能力を持った部隊だという。

では、死地に赴くも同然の状態に置かれた北朝鮮兵士は、具体的にどのような人々から選ばれたのか。脱北した元北朝鮮軍兵士や専門家らの証言を総合すると、3つの顔が浮かび上がる。それは、「忠誠心があり」、「貧しく」、「純粋な」人々という特性だ。

2012年8月、南北軍事境界線を越えて脱北した元北朝鮮軍兵士で、今は韓国の映画俳優として活躍しているチョン・ハヌル氏は1994年11月、日本海側の咸鏡南道咸興で生まれた。高級中学校(高校)を卒業した2011年春、軍に入隊した。本当は地域の体育団や体育系大学に進学したかったが、家庭が貧しかったので諦めた。当時、男子の同級生は35人ぐらいいたが、25人ほどが軍隊に入り、残りが就職するか大学に進学した。チョン氏は最前線の非武装地帯勤務を命じられた。チョン氏は「党や政府の幹部の子弟は、軍隊に入らない」とも語る。チョン氏の両親は朝鮮労働党員だったため、忠誠心があると判断されて最前線に送り込まれたようだ。

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文=牧野愛博

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