1. 「お待ち申し上げております」の意味と使われる背景
「お待ち申し上げております」という表現は、相手が訪れるのを期待し、敬意をもって待つ気持ちを表す言葉です。このフレーズは、取引先や目上の方に対する挨拶や案内の際に用いられることが多く、ビジネスシーンで敬意を示したい場合によく使われます。正しい敬語表現の使い方としてこの表現が適しているかを、まず理解しておくことが大切です。
「申し上げる」と「お待ち」の構成
「申し上げる」は「言う」や「する」の謙譲語で、相手に敬意を示すための表現です。この言葉を組み合わせた「お待ち申し上げております」は、「待つ」という行為に敬意を加えた丁寧な表現となっています。ただし、敬語が重なっているため、二重敬語と捉えられるケースもあります。
「お待ち申し上げております」は正しいのか?
一般的には、二重敬語は避けるべきとされています。しかし、「お待ち申し上げております」は、ビジネスシーンで広く使用されているため、必ずしも誤用とはされていません。むしろ、堅苦しい印象を与えるために適切に使われる場面も多く、格式の高い表現として認識されています。
2. 「お待ち申し上げております」の使い方:適切なシチュエーション
「お待ち申し上げております」は、特に丁寧さを求められる場面での使用が効果的です。ここでは、具体的なビジネスシーンでの使用例をいくつか挙げ、適切な使い方を解説します。
取引先との商談やイベントでの案内
「お待ち申し上げております」は、取引先に対して来訪を期待する際の案内メールなどに使われます。たとえば、「お忙しい中恐縮ですが、弊社オフィスにてお待ち申し上げております」と記載することで、相手に対する敬意と期待を伝えることができます。
会議やプロジェクトの進捗確認
会議の場や進捗確認を促す際には、「次回の会議でのご意見をお待ち申し上げております」といった形で活用されます。この表現により、会議の場を待ち望んでいることを敬意をもって表現できます。
接客業やサービス業でのお客様対応
サービス業の場では、「ご来店をお待ち申し上げております」といった形で顧客に対する丁寧な挨拶として使われます。この言い方は、丁寧で堅い表現ですが、顧客に対して敬意をもって迎える姿勢を表します。
3. 「お待ち申し上げております」の言い換え表現とその使い分け
「お待ち申し上げております」は堅苦しい印象を与える場合もあるため、シチュエーションに応じてより柔らかい表現を使用することが効果的です。以下に、具体的な言い換え例とその場面ごとの使い方を紹介します。
「お待ちしております」
「お待ちしております」は「お待ち申し上げております」よりもフレンドリーで、カジュアルな印象を与えます。ビジネスでも目上の方に対する失礼を避けながら、柔らかさを表現したい際に適しています。例えば、「次回のご来社をお待ちしております」といった形で使用できます。
「ご来訪をお待ちしております」
「ご来訪をお待ちしております」は、来訪に対する期待を示す表現です。特に、お客様が初めての訪問をする際に用いることで、温かく迎える気持ちを伝えることができます。
「お越しいただけることをお待ちしております」
「お越しいただけることをお待ちしております」は、会議やイベントへの出席を促す際に適した表現です。「お待ち申し上げております」と同様に敬意を示しながら、参加を期待しているニュアンスを柔らかく表現できます。
4. 「お待ち申し上げております」を使う際の注意点
「お待ち申し上げております」はビジネス上の礼儀に則った言葉遣いですが、使用場面によっては堅苦しい印象を与えることもあります。この表現を使う際の注意点を解説します。
二重敬語のため、カジュアルな場面では控える
「お待ち申し上げております」は二重敬語であるため、日常的な会話やカジュアルな場面で使用すると不自然さを感じさせる可能性があります。そのため、社内での同僚や部下とのやりとりでは「お待ちしております」などに言い換えたほうが適しています。
文章での使用が望ましい
この表現は、口頭で使うとやや堅苦しく感じられるため、主にメールや文書での使用が効果的です。特に正式な案内文やビジネスメールで使うと、相手に対して礼儀正しさと期待感を伝えることができます。
5. 「お待ち申し上げております」を使った例文
以下に、「お待ち申し上げております」をビジネスシーンで使用するための例文を紹介します。場面に応じた使い方で、適切に敬意を伝えましょう。
例文1:商談での来訪を待つ場合
「〇〇様のご来訪を心よりお待ち申し上げております。お会いできることを楽しみにしております。」
例文2:会議の出席を促す場合
「次回の会議へのご出席をお待ち申し上げております。ご参加いただけることを心より期待しております。」
例文3:イベントへの参加を促す場合
「〇月〇日のイベントにて、皆さまのご来場をお待ち申し上げております。当日は貴重なお時間を共有できることを楽しみにしております。」
6. まとめ
「お待ち申し上げております」は、丁寧な敬意を込めた待ちの表現としてビジネスシーンで使われる重要な敬語です。ただし、二重敬語であるため、場面に応じて使用することが望ましいです。また、柔らかい印象を与える「お待ちしております」や「お越しいただけることをお待ちしております」などの言い換え表現も活用し、状況に合わせたコミュニケーションを心がけましょう。