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2024.10.09 17:45

マクロスの河森正治が参加するロボットプロジェクト、人型重機の挑戦

人機一体公式ホームページより

これまで各種重作業に適合する現実的な「人型重機」の開発に注力してきた人機一体は、二足歩行用の下半身プラットフォームをロボット業界やステークホルダーに向けた「株式会社人機一体 成果発表会 2024」にて公開し、社会実装への協力を呼びかけた。今回の目玉は、自律的にバランスを取りつつ人の操縦によって歩き回る世界初となるハイブリッド型の二足歩行システムだ。

土木や建築など、まだまだ人による重作業が欠かせない分野での作業員の負担を減らそうと、人機一体は先端的ロボット工学技術で作業を機械化する研究開発を行っている。「人間機械相乗効果器」というコンセプトのもとで、それぞれの作業にもっとも適したロボットの提供を目的としているため、かならずしも人の形をしたものばかりではない。これまで、プロトタイプ機の「零式人機」をベースにした「多機能鉄道重機」が製品化され、今年の7月からはJR西日本で活躍しているが、これは架線保全などの高所作業のための人機のため、上半身が人型で下半身がトラックに架装したブームになっている。線路上の作業では、二足歩行よりも車輪移動のほうが合理的だからだ。

だが人機一体では、下半身プラットフォームのひとつとして、ユニークな二足歩行ユニットの開発も進めている。それは、自律的にバランスを取りながら歩行できる機能と、人による操縦を重ね合わせた「ハイブリッド・オートバランス制御」(HABC)と呼ばれる、世界でも類を見ないシステムだ。

たとえば、災害被災地の瓦礫の上など不安定で険しい場所の移動には、車輪よりも人と同じ二足歩行が適している。また人は、そうした場所でも両脚をうまく使って上半身を安定させることで、状況に応じた非定型作業の幅が広がる。さらに同社は、二足歩行モジュールによって、人の下肢に備わっている歩行以外のさまざまなスキルをロボットの脚部に反映させることも目指している。

こうした二足歩行モジュールを含めた下半身と上半身を目的に応じて組み合わせることで、非常に汎用性の高い重機として広い分野での活躍が期待される。しかも人機一体は、ロボットの見た目にもこだわっている。

同社は、2024年から2026年にかけて、社会実装に向けた概念実証機として、バージョン1とバージョン2の2つの二足歩行人機を発表する予定だが、バージョン1には家庭型ロボット「LOVOT」のデザイナーとして知られる根津孝太氏、バージョン2には「マクロスシリーズ」のアニメーション監督としても知られる河森正治氏がそれぞれ開発に加わっている。まさにアニメに出てくるような大きなロボットが作業現場を動き回る姿が、まもなく日常の光景となる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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