現在、実証実験段階の「みちびき」のサブメータ級測位補強サービス(SLAS・現在GPSなどによる測位の誤差は10m程度だが、このサービスを活用することで誤差1m程度になる)を利用して、電動キックボードのシェアリングサービスを提供するCrystalが、電動キックボードに受信機器を装着し、GPSのみのスマホとどの程度の差があるかを計測している。
それによると、実験場所は、名古屋市内の狭い住宅街(⻄区那古野周辺)、⾼層ビル等の障害物が多い地域(丸の内、伏⾒、⽮場町)の2箇所。⻄区那古野周辺では下記の図の通りSLASを利⽤した測位(青の線)はおおむね、実際に⾛⾏した経路(紫の線)をたどっているが、スマホでの測位(緑の線)では、ところどころで大きく走行経路を外れていることがわかる。
一方、丸の内、伏⾒、⽮場町周辺でも、SLASを利⽤した測位(青の線)のほうがスマホでの測位(緑の線)より誤差が小さく、場所によってはその差が最大70mもなることがあったようだ。
精度で見てみると、すべての地点で誤差1m程度というわけではないが、誤差12m以内の地点がSLASでは95%となっており、スマホでの測位の85%に比べて確実に精度が上がっていることが確認された。
このことから、そのサービスを活用することで、位置情報の信頼性がアップすることになり、より精度の高さが求められるアプリケーションなどで有用となるはずだ。こうした位置情報を活用するサービスを提供する企業にとっては、日本の技術によって位置情報の精度が上がることで、欧米に頼ることなくよりよいサービスの開発が期待できそうだ。
出典:Crystal「準天頂衛星システムみちびきのサブメータ級測位補強サービス(SLAS)を利⽤した実証実験」より