Q2の好業績を受けて株価は20%以上上昇した。しかし、米国時間7月31日現在で約127ドルという3Mの株価は、十分に評価が織り込まれた水準だと私たちは考える。本稿では、3Mの株価パフォーマンス、最近の決算から読み取れる主要なポイント、そしてバリュエーションについて解説する。
株価パフォーマンス
まず、近年における3Mの株価パフォーマンスを見てみよう。MMMは、2021年1月初旬につけた120ドル台から、現在の127ドル前後の水準まで、株価はほとんど変化していない。それに対し、S&P500種株価指数はこの約3年間で約45%上昇している。特筆すべきは、MMMは過去3年間、いずれも市場全体をアンダーパフォームしていることだ。MMMの2021年のリターンは5%、2022年はマイナス29%、2023年はマイナス2%だった。これに対し、S&P500のリターンは、2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、MMMのリターンはすべての年でS&P500を下回っている。
バリュエーション
バリュエーションの観点からは、MMMは適切な価格であると言えるだろう。私たちはMMMの目標株価を117ドルとしており、これは現在の株価の約127ドルを若干下回っている。私たちはこの目標株価を算出するにあたり、2024年通期の予想EPSである7.21ドルに16倍のPER(株価収益率)を掛け合わせた。このPER16倍という数字は、MMMの過去5年間の平均値である。Q2の収益は前年同期比0.5%減の63億ドル(調整前、GAAPベース)だった。部門別の収益は、運輸・エレクトロニクス部門で2.2%減、安全・産業部門で0.2%減、コンシューマー部門で2.4%減であった。Q2の調整後EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)ベースの利益率は、前年同期比4.3ポイント改善し、26.2%となった。この結果、調整後のEPSは前年同期比39%増の1.93ドルとなった。
3Mが発表した通期の業績見通しでは、既存事業の収益は2%増、調整後のEPSは7.00ドルから7.30ドルの範囲となり、市場の事前予想である6.80ドルから7.30ドルのレンジを上回るとされている。
結論
総じて、3MはQ2決算においてすばらしい業績を上げたが、決算発表の後に株価が上昇した結果、現在の株価は十分に評価された水準だと私たちは考えている。(forbes.com原文)