「お手数をおかけして申し訳ございません」の基本的な意味と背景
「お手数をおかけして申し訳ございません」は、相手に対して手間を取らせてしまった際に使う非常に丁寧な表現です。「お手数」は「手数」を丁寧にした表現で、手間や労力を意味します。このフレーズは、自分が何かを依頼したり、相手に迷惑をかけたりした際に謝罪と感謝の気持ちを同時に伝えるために使用されます。ビジネスシーンでは特に頻繁に用いられ、相手への敬意と配慮を示す重要なフレーズです。
「お手数をおかけして申し訳ございません」を使う対象
「お手数をおかけして申し訳ございません」は、丁寧な表現のため、主に上司や先輩、取引先の担当者など、目上の方に対して使われます。対等な立場の人や目下の人に対しても使用できますが、相手に堅い印象を与える可能性があるため、基本的には目上の人に対して使うのが一般的です。
「お手数をおかけして申し訳ございません」が使われる場面・使い方
相手に迷惑をかけてしまったとき
納期延長やプロジェクトの遅延、会議への遅刻など、自分の行動が原因で相手に迷惑をかけた場合に「お手数をおかけして申し訳ございません」と伝えます。相手に対する謝罪と感謝の意を示し、問題解決に向けた協力を依頼する際にも用いられます。
相手にお願いをするとき
相手に何かを依頼する際には、「お手数をおかけして申し訳ございませんが、〇〇までにご対応いただけますでしょうか」といった表現で使います。これにより、相手に対して敬意を示しつつ、依頼内容を丁寧に伝えることができます。
相手に感謝を示すとき
相手に何かをしてもらった際にも「お手数をおかけして申し訳ございません」と感謝の意を示します。例えば、上司が自分のために資料を集めてくれた場合、「お手数をおかけして申し訳ございません。ありがとうございます」と伝えます。
予定を変更するとき
急な予定変更やキャンセルを伝える際にも「お手数をおかけして申し訳ございません」を使います。相手に対して迷惑をかけてしまうことを謝罪し、理解を求める表現です。
仕事を依頼するとき
資料作成や確認など、自分では対応できない業務を依頼する際にも「お手数をおかけして申し訳ございません」を使います。相手の労力や時間を尊重し、謝罪と感謝の意を伝えることが重要です。
「お手数をおかけいたしまして」は正しい表現?
「お手数をおかけして申し訳ございません」と言いたいときに「お手数をおかけいたしまして申し訳ございません」と表現することがありますが、これは二重敬語に当たるため、正しい表現ではありません。「お手数をおかけして」が正しい敬語表現です。ビジネスシーンでは正しい敬語を使うことで、相手に良い印象を与えることができます。
「お手数をおかけして申し訳ございません」を使うときの注意点
「お手数をおかけして申し訳ございません」を使用する際には、具体的な依頼や謝罪の内容、相手に対して期待することを明確に示すことが重要です。例えば、「日程の再調整のお手数をおかけして申し訳ございません」という表現で、相手に頼みたい内容を正確に伝えられます。また、丁寧な表現であるため、日常的な会話で頻繁に使うと相手に窮屈に感じさせる場合があります。適切な頻度で使用し、相手に負担をかけないようにすることも大切です。
「お手数をおかけして申し訳ございません」の例文
以下は、「お手数をおかけして申し訳ございません」を用いたビジネスメールの例文です。
上司に依頼する際のメール例
件名:〇〇の資料のご確認のお願い【△△△△(フルネーム)】
本文:
〇〇さん
お疲れさまです。△△です。
〇月〇日にA社へご提案する際に使用する資料を作成いたしましたので、添付にてお送りいたします。お手数をおかけして申し訳ございませんが、内容をご確認いただき、アドバイスをいただけますと幸いです。
お忙しいなか恐れ入りますが、何とぞよろしくお願いいたします。
日程を変更する際のメール例
件名:お打ち合わせ日程の変更のお願い【株式会社〇〇・△△△△(フルネーム)】
本文:
株式会社□□
営業部
〇〇 〇〇様
平素より大変お世話になっております。株式会社〇〇の△△△△でございます。
〇月〇日(〇)〇時よりお時間を頂戴しておりますお打ち合わせにつきまして、急な出張が入り、貴社へお伺いすることが難しくなってしまいました。
つきましては、お手数をおかけして申し訳ございませんが、日程の変更をお願いしたく存じます。次の日程のうち、ご都合のよろしい日時はございますでしょうか。
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
上記の日程が難しい場合は、〇〇様のご都合のよろしい日時をご教示いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
送信内容に誤りがあった際の訂正メール例
件名:お見積書の再送について【株式会社〇〇・△△△△(フルネーム)】
本文:
株式会社□□
営業部
〇〇 〇〇様
平素より大変お世話になっております。株式会社〇〇の△△△△でございます。
先ほどのメールで添付にてお送りいたしましたお見積書の内容につきまして、一部の金額の記載に誤りがございました。ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
正しい金額を記載したお見積書を、本メールにて再送いたします。お手数をおかけして申し訳ございませんが、先ほどお送りしたメールは破棄していただき、本メールに添付したお見積書の内容へ差し替えをお願い申し上げます。
今後はこのようなことがないよう努めてまいりますので、何とぞご容赦いただけますと幸いです。引き続き、よろしくお願いいたします。
「お手数をおかけして申し訳ございません」の言い換え
「お手数を おかけして申し訳ございません」と同様に使える言い換え表現は、次のとおりです。
お手間を取らせてしまい
「手間」は「ある物事を進めるために費やす時間や労力」を意味します。相手に時間や労力を費やして物事を進めてもらうことを「手間を取らせる」といいます。「お手間を取らせてしまい申し訳ございません」は「お手数をおかけして申し訳ございません」と同様に、自分が原因で相手が時間や労力を費やしてしまった場合の謝罪の表現として使えます。
お手をわずらわせてしまい
「手をわずらわせる」は「相手に面倒や苦労をかける」という意味の言葉です。「お手をわずらわせてしまい申し訳ございません」は「お手数をおかけして申し訳ございません」と同様に、相手に対して面倒や苦労をかけてしまい申し訳なく思っているときに使える表現です。
ご不便をおかけして
「不便」は「便利ではないこと」「都合の悪いこと」を意味します。「不便をかける」で「相手に対して都合の悪いことを負わせる」といった意味合いになります。自分が原因で相手にとって不便な思いをさせるような依頼をする際に、謝罪の表現として使われます。
ご迷惑をおかけして
「迷惑」は「ほかの人の行為によって不利益を受け、不快な思いをする」という意味を持つ言葉です。「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と表すことで、自分の行為によって相手に不快な思いをさせてしまうことへの謝罪の意を伝えられます。
ご面倒をおかけして
「面倒」は「手間がかかること」「解決するのが容易ではなく、わずらわしいこと」を意味します。自分が原因でお相手にとって手間がかかることを対応させてしまう場合に、謝罪の表現として使用します。「お手数」と「ご面倒」はほぼ同じ意味を持ちますが、ビジネスの場において、一般的には「お手数」がよく使われます。
お悩みを引き起こしてしまい
「悩み」とは「ある問題について考え込み、負担に感じること」を意味します。相手の負担になる物事を依頼する場合や、自分の行為によって相手に負担をかけてしまった場合に、謝罪の表現として使用します。
「お手数をおかけして申し訳ございません」の英語表現
「お手数をおかけして申し訳ございません」は、英語では次のような表現が用いられます。
I’m sorry for~.
例文:I’m sorry for the trouble.
(お手数をおかけして申し訳ございません)
「I’m sorry for~」は「~して申し訳ございません」という意味を持ちます。「I’m sorry for the trouble」は直訳すると「その問題について申し訳ございません」という意味合いになります。
I apologize for~.
例文:I apologize for causing trouble.
(お手数をおかけして申し訳ございません)
「I apologize for~」は「~に対して謝罪する」という意味を持ちます。「I apologize for causing trouble」は直訳すると「引き起こした問題について謝罪します」という意味になります。
まとめ
この記事では「お手数をおかけして申し訳ございません」の意味や使い方、例文などをご紹介しました。取引先の担当者などに依頼や急なお願いをする際に「お手数をおかけして申し訳ございません」というひと言が添えてあると、相手を気遣った印象を抱かせることができます。記事内でご紹介した言い換え表現などもぜひご活用ください。