経営・戦略

2024.07.10 08:00

変化への抵抗や過剰な拡大、組織が「自滅する」8つのパターン

5)イノベーションの失敗

今日の急速に変化する世界では、イノベーションが競争力を維持するための鍵となる。イノベーションに失敗する企業は、しばしば、より機敏な競合他社に追い抜かれる。ビデオ・DVDのレンタルチェーンを展開していたブロックバスターの没落は、この点を示している。2000年にネットフリックスを5000万ドル(約80億円)で買収する機会があったにもかかわらず、ブロックバスターはストリーミングの可能性を認識できなかった。代わりに、従来型の実店舗に執着し続けた。ブロックバスターが遅れを取り戻そうとしたときには時すでに遅しで、同社は2010年に破産を申請した。

6)過剰な拡大戦略

成長は一般的にポジティブな目標と見なされるが、過剰な拡大は重大な問題につながる可能性がある。2000年代初頭のスターバックスによる積極的な拡大戦略はこの例である。同社は急速なペースで店舗をオープンし、しばしば互いに近接した場所に出店したため、市場の飽和と売上の共食いを引き起こした。この過剰な拡大は店舗閉鎖と財務的圧迫をもたらし、スターバックスは成長戦略を見直しせざるを得なくなった。

7)市場トレンドとの不一致

組織は進化する市場トレンドに適応できないことでも自滅する可能性がある。かつては支配的なSNSだったマイスペースは、ユーザーの期待と技術の進歩に追いつくことができなかった。より魅力的でユーザーフレンドリーな体験を提供するフェイスブックの台頭により、マイスペースは急速に衰退した。マイスペースが変化する市場の要求に適応し、効果的にイノベーションを行う能力がなかったことで、ユーザーからの関心を失うことになった。

8)組織文化の軽視

組織の文化は全体的なパフォーマンスに大きな影響を与える。組織文化を軽視すると、有害な職場環境、高い従業員離職率、生産性の低下につながる可能性がある。元CEOのトラビス・カラニックの下で生じていたウーバーはその一例だ。ハラスメント、差別、非倫理的な慣行が横行したことで、敵対的な職場環境が生まれてしまった。こうした問題によりウーバーは評判を落としただけでなく、中核ビジネスの運営が混乱し、経営陣の交代など大規模な内部再編につながった。

以上の課題は、特に内省に欠けるリーダーにとってはしばしば克服が困難だが、批判的思考の文化を育成し、変化を受け入れ、倫理的なリーダーシップを確保し、明確なコミュニケーションを維持し、イノベーションを優先し、成長を戦略的に管理し、市場トレンドに適応し、ポジティブな組織文化を育むことで緩和できる。これは意思決定支援のためのレッドチーミング(組織の計画や戦略の脆弱性を見つけ出すために、敵対的な視点から批判的に分析する手法)の主要な目標であり、同じ目的を持つ他の有用なアプローチも存在する。

これらの課題に取り組むことで、企業やその他の組織は自滅的な行動を避け、今日の不安定で不確実な世界でも成功することができる。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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