「オカルト情報でフェイクニュースに免疫を」?
さらに対談の中で新井氏は、オカルトとメディアリテラシーとの関係について次のように話した。「オカルティズムは19世紀に大流行した。科学が進化し、『科学的なものが正しい』という趨勢がメジャーとなって、宗教的な信心は異端であるとして排除される傾向がみられた。
ところがそれでも、『科学が説明できない不思議なこと』は絶対的にあり得る。科学絶対の時代に、その事実がカウンターパンチとなり、ゆりかえしとなって人々の意識に折り重なっていった。現在にも生きるオカルティックなストーリーは、その時代の残滓ではないかと思えるのです。
──私は『オカルトリテラシー』と名付けているんですが、オカルトには情報リテラシーを高める力があると思います」
「現代の情報化時代において、フェイクニュースをはじめ、怪しい情報がいとも簡単に出回っている。『そんなもの』と鼻で笑えればいいのに、実際に社会に影響を及ぼしている。狂信的な方向に振り切ったフェイクな情報が、ネット社会で加速度的に流布されるようになってきています。
そんななか、なんだか怪しいけどおもしろいなと、ふふんと距離感を持って接することができるオカルト情報に関心を払って触れておくことは、実はけっこう大事ではないかと。そもそも、なんでこんな言説が現代まで伝わってきているのだろう、と考えてみたりしながらね。そういう具合に情報に対する免疫を獲得する上で、オカルトに触れておくことは重要なんじゃないかと思う。
実際、今回のコラボで寄せられた読者投稿でも、このことを指摘するものは少なくないですね。『はしかに小学生までにかかっておいたほうがいいように、オカルト情報には接しておいたほうがいい。厨二病になっておいたほうが、大人になってから変な言説に騙されない』などと、書いてくださる読者がいます」
さて、そんな新井氏と三上編集長のもとに刊行された『地球の歩き方』x 「月刊ムー」とはどんな書籍なのか。
続く "オカルト誌との「混ぜるな危険」で大ヒット、「地球の歩き方xムー」はどんな本か" では、書評家の松尾優人氏が実際に『地球の歩き方 ムーJAPAN: ~神秘の国の歩き方』を読む。