K-POPや韓国ドラマの人気の高まりに伴って世界で韓国語学習者が増加していることは周知の事実。また、今年のバレンタインデーは「推しに愛を伝える日」ととらえる人が多かったという調査結果も発表された。そこで同社では、韓国語学習と「推し活」の関連について調査したというわけだ。
そして同調査では、「推し活中の約3人に1人が、推しのために韓国語学習した経験あり」、「現在、韓国語学習を行っている人のうち約半数がバレンタインに『推しチョコ』を楽しむ傾向がある」という結果が出た。
「ディギング・モメンタム」とは──
同社がさらに、「推し」にかける金額と韓国語学習経験の関係についても調査したところ、月額「1円〜2000円投資」のうち33%が、「5001円〜10000円投資」のうち69.3%が、そして「1万1円以上投資」のうち実に75%が「韓国語学習経験あり」と答えた。「推し」にかける金額と語学学習経験の間には明確な相関関係があったのだ。
この相関を考えるとき、参考になる書籍がある。『トレンドコリア』だ。その年の韓国内の消費トレンド傾向を10のキーワードで解説し、刊行されるや毎年、韓国内でベストセラーになる年鑑である。
そして、その2023年版で6番目のキーワードに選ばれたのが「Digging Momentum(ディギング・モメンタム)」。好きな分野に(時には常識の度合いを超えて)「没入」する行為のことを指す。K-POPアーティストやタレントに「推し」がいる人たちが語学習得に励む傾向は、この「ディギング行為」にあたるといえるかもしれない。
かつては、語学に熟達するにはその言語を母語とするパートナーと(リアルで)つきあうのが一番といわれ、「たとえば英語でピロートークができれば英語のコミュニケーションレベル上級皆伝」などとされたもの。しかし時代は、実際には会えなくても「推し」の母国語を学ぶことで対象に没入し、(自分のリアルの)生活を充実させる傾向に移ってもいるらしい。
今は話し言葉のみならず、「推しの筆跡でフォントを作ってほしい」と願うむきもあるとか。人は、気持ちを傾ける対象の話す、書く言葉に、対象へのパッションと同等の愛を感じる傾向があるのかもしれない。
であるとすれば、その「愛」を語学熟達のモチベーションとしてうまく利用しない手は、きっとないのである。
データ提供:Duolingo